暁 〜小説投稿サイト〜
曇天に哭く修羅
第三部
殺しに来てる
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相手を殺傷しても気にしないもう一人の紫闇はともかく『闘技者』の思考で居る表の紫闇はスポーツと同じ競い合いという土俵でしか通用しないのだ。

[兵士]や[暗殺者]のように策謀で相手の実力が発揮できないように罠へと陥れてから戦う暗部にとっては紫闇のことが手玉に取り易い獲物としか認識し出来ないのだろう。

それでもスペックで押し切れる戦闘能力を有した紫闇を相手に油断はしない。


(やってくれる……!)


マイナス何度くらいだろう。

紫闇の周囲の気温は。

霧を生んだ冷気使いの仕業。

高圧の水や氷の刃といった攻撃なら紫闇も対処できたが環境そのものを変えられてしまうと対抗する為の手段が無い。

敵の狙いは[低体温症]

御存知の通り、人間は体温が落ちてくると色々な症状に見舞われてしまう。

最終的には死ぬ。


(流石は暗部。俺と直接戦うリスクを極力減らして完殺を狙うとは恐れ入った)


感知能力を持たない紫闇は大ピンチなのだが彼は今とても嬉しい。

複数の異能を合わせて巧妙な手間を掛けてくる『群』の強さを活かした魔術師とは今までに戦った経験が無いから。

天覧武踊で戦う時は基本的に一人なので『個』の強さを売りにした魔術師となる。


「この状況を乗り越えたら強くなれるかもしれないな。ビビってる場合じゃない」

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