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踊る犬と腐りきった家族
第二章

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「そのふざけた家族いい死に方しないわよ」
「そうだな、祖父ちゃんもそう思う」
「お祖母ちゃんにも言うわよね」
「一応な、しかしお前またか」
「またって?」
「通ってる高校が近いからここに来たんだな」
「ええ、学校帰りにね」
 見れば孫娘は紺のブレザーとスカートそれに赤いネクタイとブラウスという恰好だ。黒髪を後ろでポニーテールにしていてはっきりした目と小さなピンクの唇に面長の顔で色白だ。胸はかなりあり脚も奇麗である。
「寄ったのよ」
「それでお菓子食ってくんだな」
「駄目?」
「仕方のない奴だ」
 こう言いつつ祖父は孫娘にクッキーと紅茶を懐から出した。
「食え、そして飲め」
「有り難うね、じゃあ頂くわね」
「ああ、しかしな」
「しかし?」
「この子にこれからな」
「ああ、あれ教えるのね」
「明日から早速そうしていくからな」
 部屋の中に入れたきなこを見つつ孫娘に話した。
「もうな」
「早いわね」
「早いうちから教えていかないとな」
 それこそというのだ。
「覚えないからな」
「だからなのね」
「やっていく、しかしな」
「しかし?」
「覚えなくてもその時は仕方ない」
 祖父は孫娘に強い声で言った。
「そのまま飼っていく」
「間違っても捨てないのに」
「そんなことは絶対にせん」
 頑固そのものの顔での言葉だった。
「わしはな」
「そうよね」
「この子の前の家族とは違うんだ」
 絶対に、そうした言葉だった。
「だからな」
「それがいいわ」
 孫娘もその通りだと答えた。
「人間としてね」
「誰がするものか」
 こう言ってだった、武者小路は。
 妻の亜矢子、孫娘がいい具合に歳を取ってそうして胸が小さくなって小柄になった感じの彼女にも事情を話した。彼女も孫娘と同じ様に怒ったが夫がこれからしようとすることに何の反対もしなかった。それでだった。
 武者小路は家業の農業の傍らだった、時間があると。
 家にいるきなこに音楽を大音量でかけて言った。
「この曲に合わせて踊れ、わしが踊れるからな」
「ワン?」
「こうするんだ」
 彼は犬を調教も出来た、そうしたことを若い頃に興味を持って学んだのだ。それできなこにも教えた。 
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