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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第37話:真っ直ぐな意志
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がった。
 その際、彼は琥珀メイジ達に攻撃してこちらには気づいていないクリスの後姿を見た。クリスは透から琥珀メイジを遠ざけるのに集中しており、白メイジの事には気付いていない。

 それを見て白メイジは仮面の奥で顔を醜悪な笑みの形に歪めた。今の彼にとって、クリスは格好の的でしかなかったのだ。

「馬鹿め、所詮小娘だな!」
〈イエス! キックストライク! アンダスタンドゥ?〉
「ッ!? 危ない!!」

 クリスに向けて放たれる、白メイジの魔力を集束させた飛び蹴り。放たれた瞬間にそれに気付いたクリスだが、その時にはもう目前まで飛び蹴りが迫っていた。

 正に絶体絶命…………その窮地を救ったのは、先程まで白メイジと対峙していた響であった。

「間に合えぇぇぇぇぇッ!!」

 響は右腕のガントレットのジャッキを引き、地面を殴りつけた。

「な、何だあれッ!?」

 その行動に、ノイズの相手をしながら響の様子を窺っていた奏は困惑する。今まであんなことした覚えはないし、出来るとも思っていなかったのだ。アームドギアに変化するガントレットに、ジャッキが付いているなど彼女にとっても知らなかった事である。
 それは響にとっても同様であった。彼女はこんなことが出来るなんて思っていなかった。
 ただ無意識に、只管にクリスの元へ一直線に駆け付けたいと思ったら、体が自然と動いていたのである。

「うぉおおりゃぁぁぁぁっ!!」

 ジャッキを引いたガントレットには、本来アームドギアに変化する為のエネルギーが内包されていた。それが地面に叩き付けられジャッキが戻ると、パイルバンカー宜しく打ち込まれたエネルギーは行き場を失い彼女の体を押し出す推進力となる。更に腰のバーニアで加速を得て、一気にクリスに接近した。

「な、わっ!?」
「くぅっ!?」

 白メイジがクリスに狙いを変え必殺技を放つ直前、彼女は飛び出し半ばタックルも同然にクリスに飛びついて白メイジの飛び蹴りを回避させた。

 狙いを外れた白メイジの飛び蹴りが地面を穿ち、派手な爆音を響かせる。

 思わぬ形で窮地を脱したクリスは、堪らず響を問い詰めた。

「つつッ!?…………な、何でお前──!?」
「何でって、放っておけないよ!」
「何言ってんだ!? あたしらは敵だぞ!?」
「敵じゃない! 話せばきっと分かり合えるよ!」
「何を根拠に──!?」

 理屈などなくただ助けたいから助けた響と、何故助けられたか理解できないクリスが状況も考えず言い争う。

 その一方で、戦局逆転の好機を見事に逃すことになった白メイジは殺気の籠った目で自分の邪魔をした響を睨み付けた。

「この……ガキがッ!? あと一歩と言うところでッ!?」
「「ッ!?」」

 言い争い
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