57 昇天後の地
[1/2]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
石松は皆に死後の自身の行動を語る事にした。
(石松の物語ってどんなんだろう・・・)
かよ子は石松についてより知りたくなった。
金比羅山の参りの帰路の途中、遠江(今の静岡県浜松市)にて都田の吉兵衛に騙し討ちに遭って斬られた森の石松は死後の魂が何処へ向かうか知る由もなかった。
(親分、申し訳ありませぬ・・・)
石松は自身が騙し討たれ事を情けなく思い、また、親分である清水の次郎長への罪悪感で溢れていた。
そして、長き眠りの後、石松は目がようやく覚めた。ここは極楽か、それとも地獄か・・・。
「ここは・・・」
「貴方が日本という国にいました『森の石松』ですね?」
石松の視界に入ったのは二人組の男女だった。
「ああ、そうであるが、お主らは?」
「私はフローレンス。こちらはイマヌエルです。ここは平和を司ります世界。生の世界にて人々への人情と平和と思いやり、いずれかの心を持っていました人物が入ります事を認められています」
「君はその人情が認められこの地に来たのだよ」
「某が、か・・・。親分に取り返しのつかぬ失態を犯したというのに・・・」
「そんな事はございません。貴方の親分、清水の次郎長は貴方を最も信頼しておりました。都田の吉兵衛は貴方の親分によってその仇討ちを喰らいました。親分であります次郎長に感謝なさい」
「ああ、そうであるな・・・」
「ですが、この世界では斬ります事は必要ありません。貴方がおりました日本も文化を変遷させておりまして、ただ人を斬り殺しまして静粛させます時代は廃れつつあります」
「誠であるか!?」
「はい、ただ人を殺害します事は命の尊さを考えません愚かな行為とされつつあります」
「つまり、君も生前の自分とは考えを改めなければならないという事だよ」
「そうか、分かった。某も考えを改めよう」
石松は自身の考えを変えるべく、己の修行を行う事にした。
そして、石松は人をあっさり斬る事は人権を壊す事になると知り、斬るためにはまず非人道的な人間のみにする事であると己に悟った。
「よし、己は時代に合わせられた!」
石松はそう確信した。その時、石松を呼ぶ声がする。嘗て聞き覚えのある声だった。
「石松。元気にしておったか」
「ん・・・?お主らは、大政と小政ではないか!!」
石松を呼んだ二人組の男は自身と同じく次郎長の子分であった大政と小政だった。
「我々はこの地で以前と生き方を変えたのだ」
「ああ、某もだ。単に斬り捨てるのは時代遅れと聞いた。時代は変わりつつあるのだな。この地でまた共に生き、我々が生きていた世を見守ろうではないか」
「そうだな!」
そして石松は他の子分仲間とも再会をする事ができたのである。
だが、あの世は必ずしも間違えた方向に行ってしまった。第二
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ