第三章
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「犬も色々あるな」
「ええ、やっていいことと悪いことがね」
「何かとあるな」
「そうなのよね」
「塩分の強いものは駄目で葱や玉葱も駄目か」
「刺激の強いものはね」
食べさせてはいけないというのだ。
「だからドッグフードがいいのよ」
「そうだな」
「あなたもわかってきたわね」
「家にいるからな、しかし」
ここでだ、夫は。
自分達の傍で欠伸をしているゴンを見た、足を拭いてから家に入れる時もあるのだ。それが今であった。
そのゴンを見てだ、妻に言った。
「こいつはどうもな」
「どうしたの」
「今一つ遠慮がないな」
こう言った。
「どうも」
「そうかしら」
「ああ、そんな気がするが」
「ワン?」
ゴンは夫の言葉に首を傾げさせて一言鳴いた、何と言っているのかわからないという感じだ。夫はそのゴンを見つつ妻にさらに言った。
「すぐに傍に来るし散歩の時間になると鳴くしな」
「それは普通でしょ」
「そんなものか」
「ええ、私達に懐いてくれてるしいいでしょ」
「そう言われるとな」
憮然としつつもだった、夫は妻に答えた。
「そうだな」
「じゃあね」
「このままゴンとか」
「仲良く暮らしていきましょう」
「全く、犬が一匹いるとな」
それでとだ、夫はこうも言った。
「全く違うな」
「そうね、退屈はしないでしょ」
「確かにこれだとかなりぼけにくいしな」
「毎日楽しいわね」
「そうみたいだな、おいゴン」
佐藤はまたゴンを見て彼に声をかけた。
「夕方また散歩に行くぞ」
「ワンッ」
ゴンは彼の言葉に一声鳴いて応えた、すると。
佐藤は自然と微笑んだ、そうして夕方の散歩の時が楽しみだと無意識のうちに思った。そしてそう思ったことを悪くないとも思った。
気難爺さんとパグ 完
2020・6・20
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