第38節「先輩」
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あ……あんたを助ける力だ」
銀地に青と赤のラインが入った投擲槍を、純はクルクルと振り回す。
ルナアタックから三ヶ月。純の適合率が上昇し、更なる力を求めたことで、RN式アキレウスが彼の心象に応えたのだ。
「あたしと槍で対決しようって? いいぜ……そういや名前、聞いてなかったな」
「純……爽々波純、クリスの伴装者だッ!」
「なら、来いよ純、盾なんて捨ててかかって来なッ!」
「聴かせてやる……俺の音楽をなッ!」
そして純は、槍の穂先を盾に差し込み、合体させる。
次の瞬間、槍と盾は一つになり、武器から楽器へと変わった。
困惑する奏の目の前で、純は弦に指をかける。
盾と槍を重ねたギターが奏でる音は戦場に鳴り渡り、そして純は思いを歌にした。
「夢に向かい歩いて行こう 描いたヒカリを抱いて 輝け ULTRA HEART──ッ!」
「なんだよそいつはッ! その歌はッ!」
奏は地面を蹴り、アームドギアを手に突っ込む。
純はギターをかき鳴らしながら跳躍。目の前から消えた純に、奏が顔を上げると……そこには、突き出された槍の上に立つ純の姿があった。
「自分の力信じて 一人でもできるなんて ほんとカッコばかりつけていたMYSELF──」
「ずっと戦っていたくて 大切なもの見失って それでも走った MY STAGE──」
純の歌に合わせ、翼の刃に自慢の弾丸をぶつけるクリスのコンバーターも同じ曲を再生する。
「ぐ……ッ!? なんだ、頭が……このッ! その歌を止めやがれッ!」
頭を押さえて狼狽えながら、奏は乱雑に槍を振り回す。
しかし、乱れた槍撃は純を捉えることが出来ず、純は奏の攻撃を華麗に躱しながら唄い、奏で続ける。
その姿はまるで、弁慶を翻弄する五条大橋の牛若丸が如く。
『夢を守る為に戦う』と決めた、純とクリスの心象を繋ぐ歌。
銃爪にかけた指で夢をなぞる少女と、誓いを胸に少女の盾となる少年。戦場に響く二人の歌声が、邪悪なる雑音を掻き消していく。
「やっと気づいた──」
「本当のヒカリ──」
「「『守る』ことが『戦う』ってこと──ッ!」」
純が狙うのは、自分達の伴奏がウェルの伴奏を相殺し、奏に供給されるフォニックゲインと洗脳音波が切れるその一瞬。
純の目論見に気付いたウェルは慌てた。
「これは……伴奏による音の相殺ッ!? させるかぁッ!」
RN式アメノノリゴトを更にかき鳴らすウェル。
しかし、歌なき旋律では、純とクリスが奏でる命の旋律に敵うはずもない。
奏は遂に膝を付きかける。
「ぐああああああッ! なんなんだ……なんなんだよ、この歌は……ッ! 頭が……ぐぅ……ッ!」
「バカな
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