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戦姫絶唱シンフォギア〜響き交わる伴装者〜
第38節「先輩」
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のだ。

クリスの一言は、押し潰されそうになっていた翼の心を、再び立ち直らせるには十分だった。

『何をしてるのですか? 素っ首のギアスが爆ぜるまでもう間もなくですよ?』

ウェルの煽動など、もはやその耳には届いていない。

その手に握るは剣のみにあらず。
見失いかけて、仲間に照らされ掴み直した彼女の誇りだ。

「──風鳴先輩……次で決める。昨日まで組み立てて来た、あたしのコンビネーションだッ!」

構えるクリスに、翼は刀を構え直す。

「ならば……こちらも真打をくれてやるッ!」

その顔に既に涙はなく、ただ、いつものように凛々しく毅然とした眼差しが戻っていた。

「うおおおおおおッ!」
「はああああああッ!」?



「へぇ……いい顔してるじゃないか」
「ああ。まだまだ万策尽きたってわけじゃねぇからな……ッ!」

純が閃いた逆転の一手。
それは今、戦場に鳴り渡る音にあった。

(奏さんが唄わなくてもフォニックゲインが下がっていない理由……それは、間違いない。翔のイクユミヤと同じ『伴奏』だ。ウェルのアメノノリゴトが奏でる旋律が、奏さんに力を与えている……)

純は立ち上がりながら、奏の仮面を観察する。
鋭角的なバイザー状の仮面は、彼女の顔を口元以外を覆い隠している。

(あの仮面、ヘッドホンの部分に接続した外付けパーツか……。だとすれば──)

純はこの戦いをモニタリングしているであろう、本部の了子に小声で問う。

「了子さん、あの仮面は小日向を操っていたのと同じものなんだろ?」
『ええ。ダイレクトフィードバックシステムを応用したものでしょうね。ただし、神獣鏡と違って脳に直接情報を投射することは出来ないはず。おそらくは──』
「──音を利用して命令している、だろ?」
『察しがいいわね。おそらく、ギアの収音機能を利用して、アメノノリゴトの旋律を電気信号へと変換しているんだと思うわ』
「それだけ分かれば十分……ッ!」

そう言って純は盾を一つに戻すと、左腕へと装着する。

(ウェルの伴奏を掻き消し、その隙に仮面を引っぺがす……。外付けのパーツなら、多少荒っぽくなっても問題ないはずだ。問題は、その音をどうするか……)

純は一瞬、迷う。
装者として、まだまだ半人前の自分に出来るのか?

だが、迷っている暇などない。
やれるか、ではなく、やるしかないのだから。

「応えろ、アキレウス……。俺に、奏さんを助ける力をぉぉぉぉぉぉッ!」

突き出した手を開き、強く念じる。
その手にアームドギアを握る時と同じように。

そして、アキレウスの鎧は純の心象をカタチにするように、その右手に集まる光を新たな力として彼に与える。

「それは……槍、か」
「あ
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