追試!
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「あ、和ちゃん!うん!お蔭様でー」
同じ3組の唯の幼稚園からの幼馴染の真鍋 和さんがサンドイッチの差し入れに来てくれた。
秋山さん、田井中さん、琴吹さんは期末テストの勉強会を唯の家でした時にも会ったそうだ。
僕は同じクラスだけどあまり話したことがなかったから、憂さんを交えて5人で会話するのは楽しかった。
その日の夜、少し脱線しつつも、後日追試で無事に合格点が取れるくらいには勉強したのだった。
「(x-2y+4)(x-y-1)...っと、出来た!」
「これだけ解けたら大丈夫だろ!」
「これで追試もバッチリだね」
「ありがと〜澪ちゃん、奏くん!」
「それじゃあ僕達はそろそろ...秋山さん。こんな時間だし送ってくよ」
「え!?」
「なんで唯がびっくりしてるの?」
「悪いよ奏。家の方向逆じゃないか」
「こんな時間に女性を1人で帰らせる方が悪いよ」
「...そっか。じゃあ甘えさせてもらおうかな」
唯の目線が少し気になったけど僕が秋山さんを家に送ることになった。
Side:上野 浩二&琴吹 紬
修学院駅で奏君と平沢さんと秋山さんと別れ、駅のホームで琴吹さんと電車を待っていた。
僕も琴吹さんも叡山電鉄出町柳駅が最寄り駅だからだ。
「熱くなってきたわね〜」
「そ、そうだね」
...
流れる静寂。
琴吹さんは、一緒に帰る時はいつも僕に話しかけてくれる。
だから、たまには自分から話しかけよう。
なぜだか今日は、そう思った。
「翼をくださいを合わせた時に思ったけど、琴吹さんって...キーボード上手だよね。歴長いの?」
琴吹さんの顔を見ると、嬉しそうに顔を綻ばせた。
「私、4歳の頃からピアノを習ってたの。コンクールで賞をもらったこともあるのよ〜」
言葉遣いも仕草も綺麗だからか、正君と違って全然嫌味に聞こえない...!
こんなこと正君に言ったら絶対怒られるけど...。
「へえ...!すごいね!...どうして軽音部に入ったの?」
しまった。
つい疑問をそのまま口にしてしまった。
それに気付いて琴吹さんの顔を恐る恐る見るときょとんとした顔でこう答えた。
「なんだか...楽しそうだった、から...?」
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