第8章:拓かれる可能性
第250話「止めて見せる」
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ような直接手に装着して扱う武器か、奏のように刃を生やす、またはなのはがやったように至近距離で魔力弾などで攻撃するぐらいだろう。
「(……武器が通じないなら、素手でやるしかない)」
武器が通じないのならば、その身を使うまで。
元々、優輝も魔力で四肢を刃のように振るうのだ。
緋雪が同じ事を出来ない道理はない。
むしろ、力が上な分、緋雪の方が強力だろう。
「ッ……!」
〈お嬢様!?〉
〈緋雪様!?〉
デバイス二機が驚きの声を上げる。
当然だ。緋雪が唐突に二機を投擲武器のように飛ばしたのだから。
「そこ!」
二機があっさり弾かれると同時に、突貫する。
もちろん、同時に創造魔法を魔結晶の魔法で相殺するのも忘れない。
「(受け流されさえしなければ、この力を十全に振るえる!!)」
その一撃は、優輝に放つものではない。
正確には、その一歩手前。地面に向けて、拳を振るう。
「ッ……!」
地面にクレーターが出来上がり、その衝撃波で優輝の体勢を崩す。
さらに砂塵も舞い上げ、目晦ましとした。
「足止め!」
その上、魔結晶の内、赤と黄、そして転移を察知するための紫以外を差し向ける。
全力で魔法が放たれ、優輝がいる場所を狙い撃つ。
「(今の内に……!)」
無論、これは足止めに過ぎない。
攻撃が通じるはずもなく、ほんの僅かでも攻撃の手を緩めれば魔結晶は破壊される。
そのため、少しでも時間を稼ごうと、広範囲に魔法を放ち続ける。
「(魔結晶を依り代に、分身を呼び出す!)」
―――“Alter Ego Sch?pfung”
以前にも使った事のある分身魔法を行使する。
今度は喜怒哀楽の感情ではなく、魔結晶を依り代とした。
赤と黄の魔結晶を依り代に、以前の分身よりも強力な分身を呼び出した。
現れた分身は、依り代にした魔結晶に影響されてか、羽の膜がそれぞれ赤と黄の色が混じった色合いになっていた。
〈なるほど、そのために……〉
緋雪の分身二体が、それぞれリヒトとシャルを手に取る。
そこで、リヒトは緋雪が何をしようとしているのか理解した。
要は、本人は素手で戦い、リヒトとシャルは分身に使わせるつもりなのだ。
「……さすがに、分身するのに意識を割いたから、魔結晶は割られちゃったか」
代償として、赤と黄と紫以外の魔結晶を破壊された。
二つの紫は緋雪本体に。赤と黄は、それぞれ同じ色の魔結晶を依り代とした分身の近くに寄り添うように残っていた。
「さぁ、第二ラウンドだよ……!」
そう宣言して、緋雪は再び優輝に挑みかかる。
「ッ!!」
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