変質した中学校
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いを!」
可奈美の横凪を、アサシンはしゃがんでよける。舞い上がった長髪が少し切られる。
そのままアサシンは、バックステップで可奈美から離れる。
「私、衛藤可奈美! 美濃関学院中等部所属の刀使! ねえ、アサシンじゃなくてさ! 貴女の名前を教えて!」
「……なぜ?」
「楽しいからだよ! 本気の相手と本気の立ち合いをする! それ以外には、何もないよ!」
「……理解できないわね」
ほむらの呆れ声が聞こえた。ほむらが髪をかき上げる仕草を横目で見ながら、可奈美は続ける。
「だから! 教えて! 名前!」
「……はあ」
アサシンはため息をついて、答えた。
「アカメだ」
「……! アカメちゃん! 立ち合い! やろう!」
そのまま、アカメへ一歩踏み出す。
アカメも、当然のごとく、こちらの剣に応えた。
達人を目指す剣と、殺し専門の剣。二つの刃が、幾重にも重なり、火花を散らす。
「すごい……アカメちゃんの剣、すごい重くて信念がある! どうやって鍛えたの?」
「答える理由はない」
言葉少なく、アカメの剣が千鳥の側面を撫でる。可奈美はそのまま、アカメの剣を受けては、打ち込む。
やがて、可奈美とアカメは、戦いの場を一フロアのみならず、二階の踊り場、壁にも広がっていく。互いに跳び回りながら、斬り合い、赤黒の空間を傷つけ、ほむらもキャスターの盾を必要としていた。
「楽しいね! アカメちゃん!」
「楽しい? そんなわけがない……」
可奈美の剣を受け流し、アカメが鋭い眼差しで可奈美を睨む。
「命の奪い合いが、楽しいはずがない……!」
「違うよ! これは、剣の戦い! 命の奪い合いなんかじゃない!」
「訳が分からない……剣は、殺しのための道具だ……平和な世界に、私たちの居場所はない!」
アカメの村雨が閃き、千鳥が宙を舞う。強制的に解除された写シにより、可奈美の体が生身となる。
そこに振り下ろされる、即死の刃。
だが、可奈美はそれを白刃取りで受け止める。
「?」
「そうかもね……でも、それでも私は、剣と平和は一緒にいられるって訴えるよ!」
「……」
白刃取りの体勢のまま、可奈美は動きを止めた。
村雨にかかる重さが抜けていったのだ。アカメは納刀し、可奈美を見つめていた。
「……お前は、本気なのか?」
「本気だよ! 私はこの剣を、人を守っているために使っているから!」
「……」
アカメの殺意がなくなっていく。可奈美はようやく、胸をなでおろした。
「だからさ。やろう! 立ち合い」
「断る」
「ええ……」
残念がる可奈美は、膝に両手を乗せた。
ピ ピ ピ ピ
するとその時、足元より無機質なリズムが刻まれる
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