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傍にいてくれている家族
第三章
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 それで文音はあまり散歩に連れて行かなかったが今回は山菜借りのついでに連れて行った、そうして山に入り。
 薇や蕨といった山菜を採った、アケビや野イチゴもどんどん採っていきあっという間にこれ以上持てない位に持った。それでだった。
 トイレも追えているプー太にこう言った。
「帰る?」
「ワンワンワン!」
 声をかけると不意にだった、プー太は。
 文音の方に吠え出した、これには文音も怒った。
「ちょっとあんた、家族に吠えるのはないでしょ」
「ワンワンワン!」
 見ればプー太は文音を見ていなかった、視線は彼女の後ろにある感じだった。文音はそれに気付いて。
 そうして後ろを見るとだった。
 そこにだ、一匹の猿がいた。確かにこの山もっと言えばこの辺りの山には熊や野良犬はいない。だが。
 鹿や狸、狐にハクビシンはいてだった。
 そして猿もいる、猿も畑を荒らすので厄介者だ。
 その猿達を見てプー太は吠えた、おそらく畑を見ている時と同じ要領で吠えたのだろうが。
 猿は吠えられると暫くそちらも歯を剥いて威嚇していたがすぐにその場を去って山の木々の中に消えた。文音は猿に吠えたのは犬猿の仲という言葉からだと思ったが。
 家に帰って母にそのことを何でもない顔で話すと母は驚いた顔になって娘に言った。
「あんた危なかったわよ」
「お猿さんが傍にいて?」
「ニホンザルは凶暴なのよ」
「そうなの」
「縄張りに入ってきたら普通に襲い掛かって来るから」
 娘にそのことを話した。
「迂闊に近寄ったら危ないのよ」
「そういえば凄い顔で威嚇してきたわ」
「そうよ、プー太がどうして一緒に行きたいって素振りだったかわかったわ」
「私がお猿さんに会う予感がしてたの」
「動物の勘ね、それでね」
「気付いてなの」
「あんたと一緒に山に入って」
 そうしてというのだ。
「あんたをお猿さんから護ったのよ」
「そうだったの」
「そうよ、よかったわね」
「ええ、私プー太に助けられたのね」
「そうよ、よかったわね」
「そうしたことだったの」
 文音はプー太が自分を進んで護ってくれたことに意外だと思った、だが父や兄達に彼のことを聞くとだった。
 不愛想でもいざという時はだ。
「不良とかに警戒してくれるしな」
「怪しい奴が家に近寄っても吠えるしな」
「家の玄関も見張ってくれているし」
「そういえばそうね、いつもね」
 文音は父や兄達の話を聞いて頷いた。
「あれでちゃんと私達のこと見て心配してくれてるのね」
「不愛想でもな」
「お母さん以外に懐かなさそうでも」
「それでもな」
「そうした子なのね」
 文音はこれでわかった、それでだった。
 以後プー太への見方を変えて彼女なりに親しく声をかける様になった、だがプー太は相変わらず不愛
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