第二章
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「名前も付けてやりますか」
「仮でもな」
本当の飼い主が見付かるまででもというのだ。
「そうするか」
「はい、じゃあその名前は」
店の者で考えた、そして犬はレオと名付けられ。
スタンドで飼うことになった、レオは雄であり大人しく賢い犬だった。店の者にも懐いて客達からも評判は上々だった。だが。
いつも街を出る方、そちらの道の向こうを見てだった。
誰かを待っている様だった、スタインベック達はレオのその様子を店のサイトにツイッターそれにフェイスブックで紹介してだった。
飼い主がいるなら探していると言った、すると。
暫くしてだった、店に若い男が運転する車に乗って一人の老婆が来た。老婆は癖のある白くなった髪の毛を短くしていて。
品のある服を着ていた、イタリア系の様な独特の黒い目で明るいが気品もある顔立ちだ。その彼女がオーナーのところに来て聞いてきた。
「あの、こちらのお店に犬がいますね」
「茶色の毛のゴールデンレッドリバーですか」
「はい、雄の」
「レオと名付けたですね」
「その子のことで来ました」
「まさか」
「若しかして」
こう前置きしてだ、老婆はオーナーに話した。老婆はここで自分の名を名乗った。それはジュリエッタ=ステシアーノといった。
老婆は名乗ってからこう話した。
「前はこの街に夫と二人で住んでいたんですが」
「そうだったのですか」
「去年夫が亡くなったのを機にバトンルージュの孫に家に引っ越して」
「ルイジアナの」
テキサスの隣の州にある街である。
「あちらにですか」
「はい、その引っ越す前にこの子、ジョンと名付けていますが」
「ワンワン」
ガソリンスタンドがレオと名付けたその犬は老婆を見て尻尾をぱたぱたと振ってそうして近付いている、顔も目も嬉しそうだ。
その犬を愛おし気に見つつだ、老婆は話した。
「引っ越す時にこの子が首輪を付けたまま逃げ出して。追い掛けようにも孫の車に乗る時で」
「追い掛けられなかったんですか」
「捜索願いは出していましたが」
それでもというのだ。
「中々見付からなかったのです」
「そんなことがあったんですね」
「はい、ですが」
それがというのだ。
「お店のサイトを見た知人が若しかと言ってくれて孫がその画像を見て」
「そしてですか」
「私にそのサイトを見せてくれると」
「この子がだったんですね」
「種類と毛の色と首輪でわかりました」
その犬こそがというのだ。
「ジョンだと、それでです」
「ルイジアナから来られたんですか」
「はい、よかったら」
その犬を見つつ老婆はオーナーに話した。
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