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待つ犬
第一章

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                待つ犬 
 ノイ=スタインベック、アメリカテキサス州の街の外れのガソリンスタンドで働いている彼は最近気になっていることがあった。それは何かというと。
 茶色の毛の雄のゴールデンレッドリバーがスタンドの傍に居ついたのだ、彼は最初この犬を追い払っていたが。
 追い払ってもすぐに戻ってきて街を出る方を大人しくじっと見ている、大人しいし何か訳ありに思えて。
 スタンドのオーナーホルスト=レヴァインはその太った顔で言った。背は一八〇位で身体も丸々としている。丸縁眼鏡が似合っている小さな黒い目の顔で髪の毛は黒に近いダークブラウンの髪をアフロにしている。
「もういいだろ」
「この犬はですか」
「うちで飼おう」
「うちの店で、ですか」
「そうしよう」
 こうスタインベックに話した、若々しい顔で背が高くスタンドの服が実に似合っている彼に対して。
「もうな」
「そうしますか」
「何か訳ありみたいだしな」
「そうしますか」
「建物の中に入れてやって餌もやってな」
 そうしてというのだ。
「飼おう」
「そうしますか」
「ああ、ずっと街を出る方を見ているんだ」
 このことについても言うのだった。
「絶対にだ」
「訳ありだからですね」
「そうだ、だからな」
 それでというのだ。
「誰か待ってるのかも知れないだろ」
「元の飼い主ですかね」
 スタインベックは少し考えてからオーナーに言った。
「若しかして」
「捨てられたかはぐれたかな」
「そうですかね」
「まあ捨てられたならな」
「ここまで待てないですね」
「はぐれたか?けれどな」
 それでもとだ、オーナーはさらに話した。
「ここまでじっと見ているならな」
「もうですね」
「ここで飼ってやろう、そしてな」
 オーナーはさらに話した。
「こいつのことを店のサイトやツイッターやフェイスブックで紹介するか」
「そうしますか」
「ああ、そうしてな」
「元の飼い主に話が届く様にしますか」
「そうするか」
「そうですね、それがいいですね」
 それでとだ、彼は話した。
「じゃあこの犬は」
「飼うな、うちの店で」
「わかりました、じゃあ飼うなら」
 それならとだ、スタインベックはオーナーにあらためて話した。
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