予想外
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ど、それを持つ器がザルになってたら、漏れて消滅してしまうということか)
目が見えなくなったことにより、明らかに不安感に襲われているシリルは、どんどん体内に取り込んだはずの妖精の心臓の力が漏れ出てしまっているのだ。永遠の魔力であっても、大気中に出てしまえば自然に同化していき、エーテルナノ濃度を高めるだけで終わってしまう。
(だけど、今の俺にこの状況を何とかできる術がねぇ!!)
自身がやってきた方向に視線を向けるが、この状況に呆気に取られているジェラールたちはいまだやってきている様子はない。治癒魔法が使えるウェンディの元まで運べればシリルの目は治せるだろうが、ティオスが目の前にいる状況でそんなことは不可能。
(そもそも、治せたとしてもその間に魔力がなくなって終わりだ)
妖精の心臓の魔力が尽きてしまえば、天使の力を解放できたシリルであっても、さすがにティオスに勝つことは難しい。それは先の戦いを見れば、想像に難くない。
(くそっ・・・何か・・・突破口はないのか!?)
様々な方法、可能性を頭の中で計算していく。しかし、どれも起死回生のものにはなり得ない上、現実的にとてもじゃないが起こり得そうもないものしか出てこない。
(俺ではティオスを止めることはできない。シリルを取り込まれれば奴はさらにパワーアップし、誰も手がつけられなくなる)
そうなればアルバレス、フィオーレ、両国の魔導士たちが束になっても、ティオスを止めることはできないであろう。
「・・・」
そこまで思考した彼は、抱えていたシリルを地面へとゆっくりと下ろす。視界のない彼は感触でそれを把握すると、よく状況の把握できないまま座っていることしかできない。
「カミューニさん?」
彼が何をしようとしているのか、全くわからない。そんな少年の疑問など気にする素振りも見せない青年は、強大な悪へと向かい合った。
「あれ?あなたが俺の相手をするってことですか?」
「いや・・・」
これまでの彼とは違い、冷や汗もかかずビビっている様子もない青年に、ティオスは疑問符を浮かべ問いかける。それに対し青年は、冷めた目で敵を見据えた。
「万策尽き果てた」
ティオスを倒すためにあらゆる手段を見せてきたフィオーレ。だが、結果として見れば、それは全て不発に終わり、このような段階まで来ている。
「お前を倒すことなどもう無理だろう。なら俺は・・・」
闘志も何も感じられないカミューニ。彼は全身の魔力を解放すると、ゆっくりと・・・スローモーションのように戦闘態勢に入る。
「魔導士らしく、戦って散ろう」
勝つことはもちろん、消耗させて他の者に繋ぐこともできない。彼がここで負ければ視界
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