赤黒の結界
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もが、展開に付いていけずに茫然としている。可奈美が千鳥の鞘で受け止めなければ、確実に一人は彼の餌食になっていた。
「逃げて? 早く!」
可奈美の切羽詰まった叫び声で、数人が我に返る。悲鳴を上げながら逃げ去る者、腰を抜かして警官に救出される者などがいた。
可奈美はナイフを受けたまま、肘打ちで不審者との距離を作る。千鳥を抜き、切っ先を向けた。
「誰ですか?」
可奈美は警戒を強める。だが、不審者は何も答えず、ただこちらへナイフを振りかざしてくるだけだった。
可奈美は自らは反撃せず、そのナイフを躱す。時にはじき返す。
「……この人の刃……!」
受けとめ、刃物同士のガキンという音に、可奈美は目を見開いた。
「本気の殺意……?」
さらに不審者は、そのままナイフを突いて来る。体を反転させた可奈美は、そのまま両足で、不審者の顎とゴーグルを蹴り飛ばした。
これで、帽子とゴーグルが外れ、不審者の顔が露になるはずだった。
だが。
「っ!」
ゴーグル、帽子、マスクとともに、不審者の首が、地面に落ちた。
「えっ!」
可奈美は口を抑える。しかも、不審者は首のない体でナイフを構えている。可奈美にナイフを向けたまま、落ちた首を拾い上げた。
「……ああ。顔を明かすんじゃなかった……」
背筋の凍るゴキッという音で、可奈美は思わず呟いた。
半分近くが白骨になった顔だった。目のところは黒い窪みとなっており、右の頬はゲッソリとなくなっていた。
そして額には、大きく『3』の文字が刻まれていた。
「3?」
可奈美が疑問を抱く前に、白骨体は可奈美へナイフを突き立ててくる。
だが可奈美は、一切迷わず、抜刀。その腹に押し当てる。
「太阿之剣!」
写シを展開と同時に、その色が白から赤へ。千鳥より発せられた赤いオーラが、その刀身を伸ばしていく。
一気に振りぬく。すると、不審者はのろい動きながら、こちらを振り向いた。
「_______」
彼の、喉のない声なき言葉。可奈美はその言葉を理解することなく、
その不審者は爆発した。
「……」
可奈美は黙って、不審者がいた地点を見つめていた。彼がいた形跡は、ゴーグルしか残っていない。
果たして彼が人だったのか、他の何かだったのかすら、可奈美には分からない。ただ一つ。刀使として、可奈美は警官はじめ、見守っていた人々に告げた。
「ここは危険です! 私が受け持ちますから、早く避難してください!」
不審者の存在が功を奏したのだろう。人々は、現状の危険性を理解したのか、より遠ざかっていく。
だが、決して逃げようとしない。可奈美は彼らに、笑顔で頷いた。
「大丈夫! 皆、私が
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