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Fate/WizarDragonknight
赤黒の結界
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に飛び込んできたのは、ハルトの使い魔、ガルーダだった。赤い鳥の使い魔は、一瞬ハルトの姿を探し、いないと分かると、他の見知った顔である可奈美に寄ってきた。

「どうしたの? 今、ハルトさんは……」

 可奈美は心配そうに天井を見上げる。
 ガルーダは可奈美の視線をじっと見つめ、どうやら主人が動けないことを理解したのだろう。可奈美の頭上を旋回し、甲高い鳴き声を上げた。
 可奈美は、これまでハルトと共にいて、彼がこういう場合口にする一番多い発言を思い浮かべた。

「もしかして、ファントム?」

 だが、それに対するガルーダの答えは鳴き声だけ。肯定とも否定ともつかないが、ガルーダは入り口の戸をトントンと叩いていた。
 緊急性を感じた可奈美は踵を返して二階へ上がり、千鳥を取ってきた。

「分かった! 今行くから!」
「おや? 可奈美さん、それは?」

 初めてガルーダと千鳥を見る青山さんが、目を点にしている。

「何でしょう……? 生物にしては全身が角ばっておりますし、自然界にあれほどの体表を持った生物がいるのでしょうか……」

 青山さんが何やら頭のよさそうな考察を展開する前に、慌てて可奈美は彼女に押し付けた。

「あ、青山さん! ごめんなさい! ちょっとこれ持ってて!」
「おや?」

 だが、彼女に説明している暇はない。濡れた雑巾を預けたまま可奈美がドアを開けると、ガルーダが可奈美を先導するように出ていった。

「……私、結局ハルトさんのお見舞いに行ってもいいのでしょうか?」

 一人取り残された青山さんは、雑巾を見下ろしながら呟いた。



「待って! ガルーダ!」

 ガルーダの後ろを追いかける可奈美。ガルーダは、最初は地上を走る可奈美に配慮した道を進んでいたが、やがて時間を惜しむのか、柵を飛び越え、建物の屋根を通過し、車が横行する車道を横断した。
 可奈美はそれに対し、刀、千鳥を握る力を強める。

「八幡力!」

 可奈美が刀から引き出す異能の力。可奈美に人並外れた身体能力を与えるそれは、可奈美の体で、ガルーダの追随を可能にした。ビルの合間を飛び交い、ガルーダの速度に追いつく。

「ねえ、ガルちゃん! 一体どこに向かっているの?」

 可奈美の問いに、ガルーダは鳴き声でしか返さない。だが、すぐにガルーダとの会話の必要性がなくなった。

「……これって……?」

 想像の斜め上以上の光景に、可奈美は絶句する。
 警察が食い止めなければならないほどの人だかり。彼らが波打っているのは、見滝原中学と記された校門前だった。校門前ということは、その中には学校校舎があるのが必定なのだが、校舎をはじめ、校門の内側にひろがっているのは、
 闇だった。

「何……これ?」

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