口紅
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<ムオル>
「アルル…もう一度だけ言っておくよ…どんなにお父さんの事に腹が立っても、ポポタ君の前で彼のご両親の事を悪く言ってはダメだよ!」
辺りは暗くなり、アルルとティミーは村へと戻ってきた。
そしてタリーナの家の前で、ティミーがアルルに念を押している。
「うん、分かってるわ…彼の前だけでなく、取り乱さないわ…もう分かったから、そう言う男だって事に…」
「只今戻りました…申し訳ありません、ご心配掛けて…」
「遅くなって済みません…」
アルルとティミーが室内へ入ると、一斉に視線が二人へ向けられた。
「何だぁ?遅いと思ったら、イチャついてキスしてたのか!」
「な、何ですか…藪から棒に!!」
戻って早々のリュカの言葉に、慌てまくるティミー。
「だってキスしてたんだろ?」
「な、何を根拠に!!」
「……お前、女装の趣味があるの?」
「はぁ?無いですよ、そんなの!」
「じゃぁ、その口に付いた口紅は、アルルから転移した物だろ!」
慌てて口を押さえるティミー。
「ティ、ティミー…私、口紅なんて付けてないよ…」
「騙されやすい男だな!簡単に引っかかってやんの!…お前、自分の惚れた女が化粧してるかどうか知っておけよ!」
「くっ!以後、注意します!」
室内は笑いに満ちていた。
アルルとティミーの二人は顔を真っ赤にして俯いてるが…
「アルル…僕の息子は、こう言う情けない息子なんだ。だからよろしくな!コイツなら100%君を幸せにする事が出来る…でも、こんな男だから自分を犠牲にして君を幸せにしようと暴走しかねない!そうならない様に、君が息子を幸せにしてやってくれ。そして二人揃って幸せになってほしい…」
リュカの優しい言葉に、アルルとティミーが揃って頷く。
そんな二人を見たリュカは、目と顎を使いティミーに合図する…『キスしろ!』と!
ティミーは戸惑い、回りに助けを求める様に見回したが、皆が同じ思いを込めた目で見る為、観念するしかなかった。
「「……………」」
リュカとビアンカのキスに比べれば、ぎこちない挨拶の様なモノだが、それでも互いを愛する心が伝わってくる爽やかなキスだ。
二人が唇を離すと、皆から拍手が巻き起こり、タリーナが手料理でもてなしてくれた。
「大した物では無いけれど、腕によりを掛けて造らせてもらったわ!どうぞ召し上がって下さい」
その晩は盛大に盛り上がった…
アルルとティミーの事で…これまでの冒険の事で…更にはこれからの冒険の事で………
そして、アルルとポポタの父親の事で………
<海上>
カンダタの盗賊ネットワークの情報により、ある程度世界の状況が分かってきたアルル一行。
タリーナのもてなしに甘え、楽しい夕餉を過ごしたムオルを後にし、船に戻り出港の準備を
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