第一章
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狼を飼って
シアトルに住んでいるアレックス=ホースセンはこの時ロッキー山脈に行っていた、そこでキャンプを楽しんでいた。その中で共にキャンプをしている友人のハンス=ベルがこんなことを言った。
「ここ狼出るらしいな」
「狼だったらいいだろ」
ホースセンはベルに即座に返した。
「狼は人を襲わないからな」
「相当餓えてないとな」
「だからな」
それでというのだ。
「別にな」
「狼ならいいか」
「グリズリーでもないとな」
「アラスカにいるな」
「ああ、アメリカクロクマ位だったらまだいいさ」
熊の中では比較的大人しい種類であり大きさもグリズリー即ち灰色熊程ではないからだ。
「グリズリーだとな」
「危ないか」
「というか狼より銃持った強盗の方が怖いだろ」
ホースセンはベルに笑ってこうも言った。
「アメリカだったらな」
「ああ、そうだな」
ベルも否定せずに返した、赤髪を短く刈ってキャップ帽を被り登山服で身を包んだ精悍な顔立ちのホースセンと精悍さは同じだが穏やか屋顔立ちで背は一八五あるホースセンよりさらに高い。
「それもそうだな」
「だから狼位じゃな」
「心配しないか」
「ああ、狼は犬と同じだろ」
ホースセンはこうも言った。
「犬は狼が家畜になったものだしな」
「それもそうだな」
ベルはホースセンの言葉に頷いた、そうして山の中でのキャンプ、キャンプ場でのそれを楽しんでいたが。
森に入った時に二人は罠にかかって動けなくなっている狼を見た、するとホースセンはすぐに言った。
「罠にかかってだな」
「ああ、足挟まれてるな」
ベルもその狼を見て言う。
「これは」
「すぐに手当てしないとな」
「そうだな、ただな」
ベルはここで狼、薄茶色の毛のその狼を細部まで見た、狼は二人を警戒して怖い顔で唸っている。
「ガルルルルルル・・・・・・」
「この狼雌だな」
「?乳が随分張ってるな」
ホースセンもこのことに気付いた、見れば実際に乳はベルが言った通りになっている。
「母親か」
「まだ子供が小さいんだろうな」
「それは大変だ、だったらな」
ホースセンはベルと話しつつ知恵を出した、そのうえでベルに話した。
「赤ちゃん達をここに連れて来るか」
「そしてか」
「ああ、お母さんの罠を外すまでの間にな」
「ミルクを飲んでもらうか」
「小さな子はミルクを切らしたら駄目だろ」
それこそというのだ。
「人間だってそうだしな」
「狼だってそれは同じだな」
「ああ、だからな」
それ故にというのだ。
「ここはな」
「ちゃんとか」
「赤ちゃん達を連れて行こう」
「そうするか」
こう話してだった、そのうえで。
ホースセンはベルに狼を見守って
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