五話 セルムブルグ
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今、僕等の周りには少しだが人だかりが出来つつある。
エギルの店を出る時にアクのフードを被り忘れて、珍しい《月影の王女》のアクを見に来た人もいる。フードを被ったらいいと思う僕だがアク曰く
「ロア、人だかりの原因は私じゃない。それに、今更被ってももう遅い」
とのこと。え?じゃあ何が人だかり作っているかって?それは……
「このヒト達は素性はともかく腕だけは確かだわ。多分あなたより十はレベルが上よ、クラディール」
「な、何を馬鹿な!私がこんな奴等に劣るなどと……!」
と言うようなKOB副団長改めアスナと長髪護衛改めクラディールの二人が言い争いをしているのだ。因みにキリトはただ立って聞いてるだけ。
と、言うかアスナさん。腕だけってなんですか。腕だけって。
あと、クラディール。こんな奴等にアクが入っていたら僕、短剣でクラディール君を思いっ切り叩きつけるよ。
でも、突然アスナとクラディールの言い争いで聞き捨てならないことを聞いた。
「そうか……手前、たしか《ビーター》だろ!」
そうクラディールが言った。
「なっ」
僕は思わず声を漏らしてしまった。なぜならアクにとっては禁句だからだ。
アクとアクの親友は元βテスターで、ある程度のSAOの知識を持っている。キリトと同じか、それ以上の知識になるのかな。僕?僕は元βテスターじゃないよ。βテスターになりたかったのは覚えているけど。
そうこう考えていたらキリトが
「ああ、そうだ」
と無表情で肯定を示していた。答えるのもつらいだろうに。
アクの方はというと、行き場のない怒りを血が出そうなほどにぐっと手を握りしめて堪えていた。
キリトの言葉を聞いたクラディールは
「アスナ様、こいつら自分さえ良きゃいい連中ですよ!こんな奴と関わるとろくなことがないんだ!」
と言った。そしたら、今まで平静を保っていたアスナの眉毛が不愉快そうに寄せられる。
そして、キリト達はようやく集まってきていた野次馬達に気づいたようだ。
そしてアスナは、ちらりと周囲を軽蔑すると興奮の度合いを増すばかりのクラディールに向かって、
「ともかく今日はここで帰りなさい。副団長として命令します」
そう言うとキリトのコートの後ろベルトを掴んでつかつかと行った。
その時……なんか二人で楽しそうに喋ってた。
取り残された僕等はキリト達に早歩きでついて行った。
ちらりと後ろを振り返ってみるとクラディールが突っ立ったままキリト達を睨むクラディールがいた。あれ?もしかしてだけど僕等も睨まれているのかな?ふと、そんなことを考えてしまった。
アスナの家があるセルムブルグは六十一層にある美しい城塞都市だ。
余りにもきれいすぎて僕等も最初はここを拠点にするか迷ったけど、部屋がとんでもな
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