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戦姫絶唱シンフォギア〜響き交わる伴装者〜
第37節「君ト云ウ 音奏デ 尽キルマデ」
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た奇跡よ 運命(さだめ)を蹴散らせ──』
「緒川ッ!」
「わかっています。この映像の発信源を辿れますッ!」

緒川がキーを回した、その時だった。

「慎次様、私も同行します」

金髪を右でサイドテールに纏めた青い目の女性黒服職員が、後部の座席に飛び乗って来た。

「春谷さんッ!?」
「櫻井女史より、預かってきたものがあります。これを純くんに届けるように言われました」
「分かりました……しっかり掴まっててくださいッ!」

背負ってきた唐草模様の風呂敷を降ろし、素早くシートベルトを締める春谷。
緒川がアクセルを思いっきり踏み込むと、ジープは全速力で格納庫から発進した。



(ここを登れば、後はまっすぐ進むのみッ!)
(誰かが頑張っている……私も、負けられないッ!)

翔と響は息を切らせながら、中央遺跡の階段を駆け上がる。

背後から爆発音が聞こえ、視界の隅で爆炎が上がっても振り返らずに走る二人。

(涙なんて、流している暇はないッ!)
(進むこと以外、答えなんてあるわけがないッ!)

向かうはブリッジ、マリアの元へ。
全てを一人で背負い込もうとしている彼女と、手を繋ぐために……。

ff

「ヤサシサ? 夢? 要ラナイ棄テタ全テ 夢に見たような 優しい日々も今は──」

突き、薙ぎ、払い……息を吐く暇もなく繰り出される槍さばきを、両腕に盾を構えた純は躱し、防ぎ、受け流す。

刺突武器の一番厄介なところは、その細さで急所をピンポイントに狙えることだ。
奏の撃槍は躊躇なく、純の関節やプロテクターの装着されていない二の腕や腿の部分だった。

突き破られる可能性がないとは言い切れない。
仮にバリアコーティングで出血にまでは至らなかったとしても、痛みは確実に純の俊敏な動きから精彩を削るだろう。

「儚ク消エ マルデ魔法ガ解カレ すべテノ日常が ガラクタと知った──」

その上、アキレウスのアームドギアは盾だ。
形状こそ変幻自在であるとはいえ、直接攻撃の手段としては心許ない。

そして何より、純と奏では戦闘経験に差があり過ぎるのだ。

三ヶ月前、フィーネにRN式Model-0を与えられたことで伴装者となった純。
実戦経験やバトルセンス、潜り抜けた修羅場の数では当然、奏との差が開きすぎてしまっている。

それでも、自分の感覚全てを駆使して奏の動きを読み、なんとか大きなダメージを受けないように立ち回っている。それが奏には面白いのか、その口元が吊り上がる。

「曇リナキ青空の下で唄うより──ハハハハッ! お前、結構やるじゃないかッ!」
「くッ……! 奏さん、目を覚ましてくれッ!」
「目を覚ませ? あたしが寝惚けてるように見えるってかッ!」
「ぐッ!?」


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