第37節「君ト云ウ 音奏デ 尽キルマデ」
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首に嵌められているそれが、赤く点滅を始めていることに気が付いた。
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「切ちゃんが、切ちゃんでいられるうちにって、どういうこと?」
もう隠し通すことは出来ない。そう悟った切歌は、抱え続けてきた恐怖を遂に打ち明ける。
「アタシの中にフィーネの魂が──覚醒しそうなんデス。施設に集められたレセプターチルドレンだもの……こうなる可能性はあったデス」
ようやく聞き出せた、切歌の真意。
だからこそ、調が返す言葉は決まっていた。
「だとしたら、わたしは尚の事、切ちゃんを止めてみせる」
「──えッ!?」
「これ以上、塗りつぶされないために──大好きな切ちゃんを守るために……ッ!」
だが、切歌にも譲れないものがある。
それが猶予のない自分に出来る、唯一の事だと信じて……。
「大好きとか言うなッ! アタシの方がずっと調が大好きデスッ! だから、大好きな人達がいる世界を守るんデスッ! だから、大好きな人たちが居る世界を守るんデスッ!」
「切ちゃん……ッ!」
調はアームを上下に展開、回転率を上げた丸鋸をローターとし、宙へと浮かぶ。
〈緊急Φ式・双月カルマ〉
「調……ッ!」
切歌もまた、両肩のアームを四方に伸ばし、肩アーマーに装備された鎌の刃を展開する。
〈封伐・PィNo奇ぉ〉
「「大好きだって……言ってるでしょうおおおおおッ!!」」
互いを思い合うからこそ、その心はすれ違う。
振るわれた望まぬ刃が、大好きな親友を傷つけていく。
そこに、大きな見落としがあるとも気付かずに……。
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「世話の焼ける弟子のおかげでこれだ……」
「きっかけを作ってくれたと素直に喜ぶべきでは?」
「フッ……」
弦十郎と緒川は格納庫のジープに搭乗し、出撃の準備を整えていた。
指揮系統は了子が変わってくれている。弦十郎が心置きなく暴れられるよう、取り計らってくれたのだ。
そこへ、インカムが入電のアラートを鳴らす。
「ん?」
『司令!』
「何だ?」
『出撃の前に、これをご覧下さいッ!』
藤尭に言われた通り、緒川がタブレットを開くとそこには……。
『私は、マリア・カデンツァヴナ・イヴ……月の落下がもたらす災厄を最小限に抑えるために、フィーネの名を騙った者だ』
フロンティアのブリッジから全世界へと向けて呼びかけるマリアの姿が、テレビ回線を通じて映し出されていた。
『フロンティアから発信されている映像情報です。世界各地に中継されています』
「この期にF.I.S.は何を狙って……?」
緒川と同じ疑問を浮かべていた弦十郎は、眉をひそめながらその言葉に耳を傾ける。
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『3ヶ月前のルナアタック
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