第15話 泉美の初陣と、神聖なる拳の者:後編
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当然だろう。何度も言うように泉美はボクサーとしての鍛錬など積んではいないのだから。故にその守り方は見様見真似でしかないのだ。
これは、神機楼同士の戦いとなっても同様であるのだった。これは搭乗者自身の身体能力が機体動作性に影響するのであるから。
そして、泉美は防御姿勢のまま、ジリジリと敵の攻撃に押されていたのである。これではとてもではないが、三分を迎えて敵の集中力が切れるのを狙うなど難しいだろう。
そこで、泉美は次なる手を打つのであった。とてもではないが人間の肉体を洗練されたボクサーというものに、『人型』で敵う筈はないだろうと考えて。
そう思い至った泉美は、早速それを実行に移すのであった。
「コマンダードリル、バードモード!」
言うと泉美はコックピット内のとあるスイッチをONにするのであった。余談だが、この状況でも泉美は愛機をあだ名で呼んでいたのであった。
「!?」
その言葉に高嶺は耳が行ったが、すでに敵はそれを実行に移したのである。
それは一瞬であった。敵の攻撃が離れる刹那の隙を狙い、カルラノカブトはガシャガシャと音を立ててその身体構造を変化させてしまったのであった。
そして、見事にカルラノカブトは鳥型ロボットへとその姿を変貌させ、そのまま上空へと飛び交って行ったのであった。
これこそ、『飛鋼獣』と呼ばれる所以であった。呼んでいるのは泉美だけであるが。
一頻り宙を舞い、適度な距離を取った泉美は得意気に言う。
「これがコマンダードリル・バードモードです。相手が格闘なら、こっちは飛行で責めるまでですよ♪」
「また別次元な話題を……」
端から見ていた千影はまたも頭を抱えるのであった。確かに神機楼での戦いと『某携帯獣』を用いての戦いには共通する要素が幾つかはあるが。
これで、地上戦しか出来ないだろうマスラオノコブシに対して、空中で時間を稼ぐのかと千影は思うのだったが、それは叶わないだろうと踏む。そして、その予想は当たる事になる。
「成程、確かにそれは理に適った対処法ですね。普通、格闘家というものは空なんて飛べはしないのですから。ですが……」
そう言うと高嶺はその場で右腕を大きく振りかぶると、それを上空の泉美機目掛けて振りかざしたのである。
すると、そこから風の刃が形成されてカルラノカブトを襲ったのである。
「甘いっ!」
そう言いながら泉美はその刃を間一髪の所でかわす事が出来たのであった。さすがは空を舞う鳥の姿だという事であろうか。
しかし、今の敵の攻撃で彼女の優勢は一気に崩れ去ったのであった。例え某ロボット大戦風に余裕ぶっこいた口調で避けたのであっても、彼女の心境は穏やかではなかった。
「そんな攻撃が出来たんですね……」
素直に敵の思い掛けない攻撃手段に驚きの言葉を漏らす泉美。そんな彼
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