第14話 泉美の初陣と、神聖なる拳の者:前編
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るなら逃れられないサガというものだろう。どんなボクサーでも鍛えようのない……いや、ボクサーとして洗練されればされる程その枷はより強力となるだろう、そう泉美は踏んだのであった。
故に、一介の女子高生である自分に勝機があるとすれば、そこを狙うしかないだろうと。
その作戦に出るべく、泉美はまずは防戦に入ろうと、自身からは行動を起こさなかったのである。
これは、相手の特性を見極めて、それに合わせて戦うという頭脳派の泉美らしい作戦であった。だが、そう敵が出てくるというのは、高嶺としても承知の事だったのだ。
「あなたらしいですね、私の『時間切れ』を狙うとは賢いやり方です。しかし──」
そう高嶺が言うや否や、彼の搭乗機体に間髪入れずに行動を開始させるのであった。
それは、フットワーク。確かにボクシングは足を攻撃には使えないが、その足捌きで軽快に動き攻防を兼ねる働きをさせるのが必須なのである。そう、直接攻撃には使えないが、=戦う為の武器にならない、という事では断じてないのだ。
その足捌きで一気に敵機との間合いを詰めた高嶺は、そこから攻撃の手を加える。
彼は、自身の機体に普通のファイティングポーズとは違うスタイルを取らせていたのだ。それは、利き腕でない方の手を振り子のように振らせながら戦うという『ヒットマンスタイル』と呼ばれるものであった。
その状態から繰り出されるのは、正に『飛び出しナイフ』を彷彿とさせるジャブである『フリッカージャブ』であったのであった。
その攻撃方法こそが彼にリングネームに『断頭台』の名が付けられた所以であるのだった。
その鞭のようにしなるような攻撃を鋼の巨躯にさせてしまう辺り、高嶺のセンスが相当なものだと伺う事が出来るであろう。そして、その死神の鎌のような攻撃は着実に泉美を刈るべく迫っていた。
「やっぱり、三分間何て時間は某大佐と違って待ってくれないみたいね……」
(あの若ハゲの人!?)
そんな泉美の別次元の呟きに、千影は閉口するのであった。こいつも姫子と同じような趣味を持っていたのかと。そのインテリっぽい風貌にてっきり騙されたよ!
と、千影を知らず知らずの内にアンニュイな心持ちとさせてしまった泉美だが、当然彼女には余裕がなかった。
例えボクサー同士の戦いでも、その三分間は実際以上の長さを感じるものなのであるのだから、当然そのような鍛錬を行っていない泉美からすればそれは更に上をいくというものであろう。
故に、まともに戦えばどう考えても自分の不利は覆らないのだ。なので、泉美はここからは『自分らしい』戦い方をする事に決めたのであった。
咄嗟に彼女は自身の機体にある物を取り出させると、それを敵が振りかざしてきた『死神の鎌』へと迷う事なく投下したのである。
その『ある物』はあっ
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