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神機楼戦記オクトメディウム
第14話 泉美の初陣と、神聖なる拳の者:前編
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……」
 千影は頭を抱えた。でも、敵ながら『敵ながら出来た人で、後に協力してくれる』って点であの古代エチオピアの英雄の名前の側近と同じ穴のむじななんだろうと納得してしまう自分が憎かった。
 そして、その八雲泉美チェンジは見事(?)に果たされるのであった。
 それは、彼女の姿は普段の穂村宮高校女生徒の制服から一新されていたのである。
 まず、紫色のとんがり帽子に、紫色の魔法使いか吸血鬼でも被るようなマント。
 その下に白のノースリーブと黒のタイトなミニスカートを纏ったのが、現在の泉美の姿なのであった。
(……この人の趣味ね)
 千影はそう確信したのであった。それにしてもノースリーブと巨乳ってのは阿吽の呼吸をしているなと千影は自分にない物への渇望をせずにはいられなかった。
「泉美。その姿は?」
「これはね、私はこれから『紅月の巫女』の千影さんや、『蒼月の巫女』の姫子さんと一緒に戦う事を考えての事でしてね……」
 そう区切ってから、泉美はこう締めくくった。
「それに対抗して、私が戦う時は『紫陽の魔術師』と名乗る事にしたのよ」
「成る程……」
 その発想とネーミングは案外まともだったので、千影は泉美の心意気に頷いておく事にしたのであった。
 そして、泉美はその魔法使い然とした出で立ちのまま、光となって自身の神機楼の中へと飛び込んでいったのであった。
 後は、『敵』の番であろう。
「……では、私も神機楼を出すとしましょう」
 そう高嶺は言うと、彼は懐からバンテージ──ボクサーの拳を保護する布──を取り出したのである。
 そして、次の瞬間にそれはまるで意思を持ったかのようにひとりでに持ち主の拳へと蛇のように巻き付いていったのであった。
 神機楼召喚の為の媒体はこれで出し終えた高嶺は、そのまま彼の愛機の名前を口ずさむ。
「出でよ、『マスラオノコブシ』!」
 その宣言により呼び出されたのは、拳闘士をモチーフにそのままデザインされたかのような機体であったのだった。
 そして、高嶺は口数少なく自身の召喚した機体へと飛び込んでいったのである。
 こうして戦いの準備が整った二人は、互いに神機楼に搭乗した状態で向かい合った。
 その状態から先に口を開いたのは泉美であった。
「高嶺さん……あなたを大邪の手から解放して見せますから」
 その言葉に対して、高嶺は答える。
「その心構えは立派です。しかし、大邪に仕える身となった私は、そう簡単には解き放たれる事はないでしょう。ですので覚悟を決めて下さい」
 そう言って互いは臨戦態勢に入るのであった。そして、泉美にはこの勝負にはある狙いを向けていたのである。
 それは、相手がボクサーであるが故に、その戦闘における集中力は三分になってしまうだろうという事であった。
 その事は、ボクサーであ
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