第14話 泉美の初陣と、神聖なる拳の者:前編
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召喚を執り行うべく行動を始める。そう、神機楼を呼び出す為の『媒体』の出番である。
「助かりますよ、高嶺さん」
そう言いながら泉美が取り出したのは、彼女がいつも愛用している『ガラホ』であったのだ。
それを確認した千影は、そこで呆気に取られてしまうのであった。
「泉美、それ……『媒体』だったの?」
「ええ、まあそういう所ね」
対して、泉美はさも当然といった風に、あっけらかんとしてそう言い放ったのであった。
「──何か問題あるかしら?」
「いえ、問題はないけど、何か違うなって思って……」
それが千影の感じる所であるのだった。某傭兵の好物が焼きビーフンなのと同じで、おかしくはないけどそこはかとなく違和感があるなと。
ともあれ、要はこれから泉美は神機楼を呼び出せればそれでいいのだ。
その為の挙動を彼女は行っていく。まず、ガラホをパカリと開いてボタンを押した後、耳元へと傾きかけ──。
「やっぱり違うわ!」
それは明らかに巨躯の兵を呼ぶような挙動ではなく、普通に携帯電話で話す仕草であるのだった。
更に、泉美の暴挙は続いていく。
「まずうちさあ、屋上あんだけど、焼いてかない?」
『ああ〜いいっすねぇ〜』
「会話してるし!」
その事に加えて、その台詞はどこかいかがわしい所で聞いた事のある内容であったのだ。
千影が完全に泉美に翻弄されてやるせない気持ちとなっていると、彼女らの周囲に気配が現れたのであった。
そう、それは紛れもなく八雲泉美の搭乗する神機楼であるのだった。
「今の手順で呼び出せるって……」
そう千影は世の不条理に嘆くしかなかった。
そして、その神機楼の姿は、まず全身が紫色のカラーリングであり、頭部には鳥の頭を模したような兜が装着されているのであった。
ここに、彼女の駆る神機楼の初のお目見えとなったのだ。
その巨躯の名を泉美は高らかと宣言する。
「頼むわよ、『飛鋼獣コマンダードリル』!」
「……ん?」
その名称に千影は首を傾げるのであった。明らかに今まで聞いてきた神機楼の名称とは毛色が違ったからである。
「いえ……あなたの神機楼の名前は『カルラノカブト』であった筈ですが?」
「ああ、やっぱり!」
高嶺が指摘した事で千影は疑惑が確信に変わったのであった。やっぱりこの人は自分の神機楼にあだ名なんてものを付けていたのだと。
そんな敵味方の垣根を越えてやるせない思いとなっている二人を尻目に、泉美はこんな事を言い始める。
「折角神機楼を繰り出したのですから、私も晴れ姿とならせてもらうわ♪」
その言葉を聞きながら千影は、一体何の事だろうと思いながら泉美の動向に目を向ける。
彼女がそうしていると、泉美はこう口走るのであった。
「八雲泉美チェーンジ!」
「『チェンジ』って
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