第13話 果てしなき闘い
[5/5]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
千影の耳元で囁くように言う。
「でも、千影さんとしても『有意義』だったんじゃないのかしら?」
「ええ、それはまあ……」
それは見事に的を得た指摘であるのだった。何せ、学校で『達する』という究極の禁忌を千影は成し遂げたのであるから。
そう思い、千影は勝負には負けたが、メスとしては勝ったと自分を納得させる事にしたのであった。
そのように千影が考えていると、ここで泉美は態度を改まって千影に言ってきたのである。
「でも千影さん、良かったんですか? 私にこんな一線を越えた施しをしてくれるなんて……」
「一番想っているのは姫子さんでしょう?」その事を泉美は忘れてはいなかったのだ。
泉美には分かっているのであった。こうして彼女達の仲間となった自分だが、千影と姫子の方がより固い絆で結ばれている事を。
だが、泉美にそう指摘された千影はここで首を横に振るのであった。
「いいえ、泉美。あなたは『私を終着点にはしていない』事は自分でも分かっているでしょう? だから、私は今回こうして『通過点』になったまでの事よ」
「通過点……ね」
そう言われて泉美は合点がいく所であるのだった。全くを以って千影の主張は彼女の的を得ているからである。
そう、泉美は既に千影を最終目標とするような事はしていなかったのだ。それは、千影に焦がれる想いを燻らせていた時から心の奥底で感じていただろう事ではあるが。
つまり、泉美は今回の経験を通過点として、新たな目標を見出していくのが本人の為でもあり、千影の為でもあるのだった。
故に千影は今回このような行為に走ったという事なのだ。些か学校のトイレでやるような事ではないが。
ともあれ、この瞬間に泉美が千影に対して感謝の念で一杯になった事は確かなのであり、素直に彼女はその気持ちを言葉で表すのであった。
「ありがとう、千影さん」
「ええ、どういたしまして」
千影の方もそのお礼には素直な気持ちで返すのであった。何度も言うが学校でやるような事ではなかったが。
それはさておき、ここに強い絆が芽生えた二人は突如としてアイコンタクトを取ると、こう言うのであった。
「どうやら『時』が来たようね」
「そのようね」
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ