第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第31話 白の侍と黒の機士:後編
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勝利であったのだ。
「いいえ、妖夢はちゃんと修行しているわよ。ただ、ちょっと真面目で純粋すぎるだけよ〜」
と、幽々子はいつものほわほわとした振る舞いで妖夢に労いと導きの言葉を掛けた。
そして、妖夢はその言葉を聞いて薄々感じ取った。──何故幽々子が自分を勇美と戦わせたのかを。
勝負は必ずしも正々堂々だけが決め手ではない、その事を妖夢は学ぶのだった。
一方、勝者である勇美の方は……。
「う〜ん」
勝ったにも関わらず唸っていた。
「どうしたの、勇美? 貴方の勝ちなのよ」
そんな様子の勇美を依姫は窘める。
「そうなんですけど、今回自分でも思う程、姑息な手段で勝ったなぁ〜って……」
「それなら、これからは真っ向勝負で勝てるように精進すればいいのよ。この勝負は勝ちは勝ちと受け止めておきなさい」
ため息をつきながらぼやく勇美に、依姫は諭すように言った。そして彼女は続ける。
「でも、今の貴方、そこまで落ち込んでいるようには見えないわよ」
「あ、分かりますか?」
そこで勇美は表情が明るくなった。
「そうなんですよ、不思議と嫌な気分は余りしないんですね。これも私が悪として箔が付いてきたって事なんでしょうか?」
「私には分からないわ。それは貴方自身が決める事よ」
依姫はいつものようにやや突き放す姿勢で言った。それが彼女が周りの者達が自ら成長していくのを後押しするためのやり方だからである。
その一方で依姫は勇美に感心していた。彼女は自分らしさと誇りをどんどん身に付けていっていると。
母親の教育により自分の自信の芽を踏みにじられて育ってきた勇美。だが、依姫の元で精進し、幻想郷の者達と関わる事で『解毒』が行われて順調に成長していっているようだ。
これからが楽しみであろう。依姫はそう期待するが、勇美自身にもプラスになっているようであるのだった。
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