第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第31話 白の侍と黒の機士:後編
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ると感じ始めた。後は……、一押しするだけである。
「妖夢さんって二刀流剣士ですよね、つまり両刀使いですよね」
「……それがどうかしましたか?」
この状況で唐突な質問に妖夢は訝る。だがこれは序の口であった。
「両刀使いなのは『あっち』の方も何ですかぁ〜♪」
「何言って……!」
勇美の言わんとする事の要点が読めずに頭に疑問符を浮かべる妖夢であったが、どうやら『気付いて』しまったようだ。──出来れば気付きたくない事であったが。
話がふしだらな方向に向かった事を認識してしまった妖夢は、そこで一瞬取り乱してしまった。
だが妖夢とて歴戦の剣士。その心の乱れは一瞬であった。しかし、その一瞬の間に隙が出来ていて、光の塔を持つ手に多少のブレが出来てしまっていたのだ。
それを勇美は逃しはしなかった。いや、彼女がこの隙を人為的に呼び込んだのである。
「今だ!」
勇美は弾かれるようにそう叫ぶと、瞬時に神に呼び掛けを行った。
呼び込んだのはまず「愛宕様」であった。
そして目には目を、冥界の者には冥界の者と言う事だろうか、次に呼び込んだのは冥界の神である「ハデス」であった。
その二柱の神を核として、勇美は新たな機神を生成し始めた。
徐々にその外観を現していく機神。そして露わになったのは、黄土色で表面に凹凸の多い楕円形に悪魔のような目と口の形に掘られた穴がある物……。
それは、ジャック・オー・ランタンそのものであった。
その目と口の中から怪しく赤と橙の中間のような光が漏れる。
そして勇美はスペル宣言をした。
「【乱射「覇王の勝利を撃ち抜く弾」】!!」
宣言に続いて、機械仕掛けのカボチャの口が一層不気味に光ると、そこから禍々しい色の光の弾丸が無数に発射されていったのだ。
その攻撃は妖夢ならば十分に対処出来るものであった。──普段の彼女であったなら。
しかし、知っての通り、今の妖夢は大技を繰り出していた最中だったのだ。今からでは防御に移る事は出来ないだろう。
これは即ち、駆け引きに勇美が『勝利』したという事であった。
容赦なく弾丸は妖夢に全て着弾した。そしてそれだけでは終わりではなかった。
バランスを崩した妖夢は、その場でそのまま倒れてしまったのだ……エネルギーの塔を掲げたまま。
そして、塔は崩落し。妖夢は自ら築き上げた建造物の瓦解に巻き込まれてしまったのだった。
「くぅああああっ!!」
悲鳴と共に光の奔流に飲み込まれる妖夢。すると彼女は爆発に包まれてしまった。
◇ ◇ ◇
「幽々子様、申し訳ありませんでした。私の修行不足です」
試合が終わり、妖夢ボロボロになりながら自らの主に自分が貢献出来なかった事を詫びた。
この台詞からも察する事が出来るように、結論から言えば勝負は勇美の
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