暁 〜小説投稿サイト〜
MOONDREAMER:第二章〜
第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第31話 白の侍と黒の機士:後編
[3/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
正確無比であった。さすがは生真面目な妖夢の性格が出ていると言えよう。
 その動きに続くように剣から漏れる光の奔流が妖夢と勇美の周りを舞った。その光景は、さながら計算され尽くされたイルミネーションのような流麗さがあったのだった。
 そして、一頻り攻撃を加えた妖夢はそこで身を引いたのだった。
「諦めてくれましたか……?」
 激しい猛攻を耐えていた勇美。妖夢が引いた事により自分が守り切ったと思い安堵の言葉を漏らした。
「いいえ、もう『終わりました』から」
「!?」
 妖夢が意味深な台詞を呟くのを聞いて勇美は辺りに注意を巡らせるとハッとなってしまった。
 ──見れば鋼の装甲には大きく五芒星の切り傷が刻み込まれていたのだ。
 そしてそれだけでは終わらず、その傷が激しく閃光を振りまくと、みるみる内に機体にヒビが入っていった。そこからも光が壊れた蛇口から出る水のように止めどなく漏れ出し始めた。
 やがてヒビと光の漏洩は機体の全身に及び──木っ端微塵に爆散してしまったのだった。それはまるで寿命を迎えた巨木が倒れるかのように一瞬の事であった。
「マッくん! ……ぐっ!」
 装甲となって自分を護ってくれた相棒の最期に対して悲壮な気持ちに浸る間もなく、自分の分身が破壊されたダメージのフィードバックが勇美を襲った。
 それにより今までの戦いでのダメージの蓄積もあり、勇美は短い着物から除く生足で地面に立て膝をついてしまった。
「はあ……はあ……。守り切れると思ったのに……」
 悔しさと肉体の疲弊により息を荒げながら、勇美は忌々しげに妖夢を見据えながら漏らした。
「どうですか? 妖怪が鍛えたこの楼観剣に、斬れぬものなどあんまりないんですよ!」
 そして、妖夢のお得意の言い回しをここで決めたのだった。
 だが、今回妖夢とてそう簡単にはいかないだろうと感じていたのだ。神の力を巧みに操って練り上げられた鉄壁は易々とは切り崩せないだろうと。
 しかし、彼女とて自分の掲げる言葉にはポリシーというものがあった。故に楽な仕事ではないが、達成しようという意気込みがあったのだ。
 そして、妖夢はそれを成し遂げたのだ。見事な『有言実行』である。
「やっぱり、妖夢をあの子と戦わせたのは正解だったみたいねぇ〜」
 一方で、二人の戦いを見守っていた幽々子はそうのたまった。一見のほほんとしているようで、どこか重みの感じる口調で呟いたのだった。
「さて、今回の妖夢は強いわよ〜♪ 勇美ちゃん、どうするつもりなのかしらね〜」
 そして幽々子は再び、この目の離せない催し物に見やるのであった。

◇ ◇ ◇

 興に乗って来た妖夢。ここで彼女は勝負に出ようとする。
「このまま流れに乗らさせてもらいますよ、勇美さん!」
 と、妖夢は無慈悲に自分の意気込みを相手にぶつ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ