第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第31話 白の侍と黒の機士:後編
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「何はともあれ、攻撃に備えないとね」
そこで勇美は再び『神機』を起動させるべく心の中で神に呼び掛けた。その神は先程と同じ、金山彦であった。
呼び掛けが終わると、勇美の目の前に大きな盾を備え付けたかのような車体が形成されていった。
「【装甲「シールドパンツァー」】……」
それが勇美が打ち出した防衛手段の名称であった。
見るからに頑丈そうな車体である。これさえあれば並大抵の攻撃なら受け止められるだろう。
そして、対峙していた妖夢から放たれていた光は収まったようだ。
──来る。そう勇美は確信して相手を見据えた。
だが、今の自分には強固なバリケードが存在している。そう簡単には攻撃を通す事はないだろう。
「いざっ!」
刹那、妖夢が脚のバネの力で跳躍し、一気に宙を舞いながら勇美へと距離を詰めてきた。
そこから妖夢は楼観剣と白楼剣を上空で鞘から一気に抜き放った。
するとその刀身は眩く輝いていたのだ。そう、先程妖夢自身から放たれていた閃光を一身に集めたかのようであった。
「【眩符「陰陽双剣」】ッ!!」
勇ましく妖夢がスペル宣言すると共に、その光の双剣が同時に勇美目掛けて振り下ろされた。
「来ましたか! でも今のマッくんなら全ての攻撃を受け止めて見せますよ!」
勇美も負けじと自らの相棒を妖夢の前に繰り出し、防御態勢を取る。
そして、剣をその鋼の盾で貪欲にかぶりつくかのようにその身で受け止めた。
すると、激しい閃光とけたたましい金属音が辺りに振りまかれたのだ。
「くぅぅっ……!」
その凄まじい光景と圧力に思わず唸る勇美。だが、彼女の繰り出した装甲の方は見事に妖夢の攻撃を防ぎきっていた。
「さすがは金属の神様の力ですね……っ!」
妖夢はやや表情を歪めながら呻くように呟いた。
「まあ、私の自慢の盾ですけどね。今考えたスペルですけど」
対する勇美も余裕がないながらも軽口を叩いて見せる。
だが、それは空元気になる事となる。攻撃を受け止められながら、妖夢は淡々と呟いた。
「……【剛剣「烈剛陰陽剣」】」
その宣言と共に、妖夢は白楼剣を鞘に仕舞うと、楼観剣のみを両手に持った。
すると、楼観剣は一際鋭く光り輝いたのだ。まるで、先程の白楼剣の分の光をその身に加えたかのようであった。
そして、妖夢は楼観剣を振り下ろす。けたたましい金属音がマックスからほとばしる。幸いマックスの機体は無事だったようだ。
「これなら……」
顔に冷や汗をかきつつも安堵の言葉を漏らす勇美。
だが、攻撃はこれだけでは終わらなかったのだ。妖夢は振り下ろした楼観剣を返す刀で再び振り抜いたのだ。
そして、振り抜いては刀の向きを変えて再び振り抜く。その継続的な攻撃を妖夢は淡々とやってのけていったのだった。
その動きは
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