第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第30話 白の侍と黒の機士:前編
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は淡々と告げる。
「【幽鬼剣「妖童餓鬼の断食」】……」
それが妖夢が炎の奔流に飲まれた時に放ったスペルの正体であった。
見れば勇美の放った炎を、妖夢の刀がみるみるうちに吸い込んでいったではないか。
しかも、心なしか妖夢の体力が幾分か回復したように見えた。
「まさか、炎を吸収したのですか……?」
「ええ、いくらかエネルギー補給をさせてもらいましたよ♪」
妖夢はいつもの生真面目な振る舞いとは違って、どこかおどけた様子で言ってのけた。
「やりますね……」
対して勇美は、やはり悔しそうな表情で唸った。
先程の半ば自爆のような反撃でダメージは概ね同等となっていたというのに、これで回復をした妖夢に抜かれてしまったのだから。
追い込まれたと痛感する勇美。だが、彼女にとっての絶望はこれで終わりではなかったのだった。
妖夢は刀を一端鞘に納めると、居合いの構えを取った。そしてスペル宣言をする。
「【獄界剣「二百由旬の一閃」】!」
そして宣言と共に鞘から楼観剣が振り抜かれると、辺りに衝撃のようなものが走った。
更に、続いて剣圧がほとばしった。
「きゃああっ!」
それに勇美はものの見事に捉えられたしまったのだった。剣の衝撃により彼女は弾き飛ばされてしまう。
弾かれてしまった勇美は、したたかに地面に体を打ち付けてしまった。
「ううっ……」
宙を舞った時の恐怖と、体に走った痛みに思わず唸る勇美。
「やりすぎてしまいましたか……?」
妖夢は思わずそう呟いた。真剣勝負に情けは禁物だが、相手を必要以上に追い詰めるのもなるべくなら避けるべきであるのだから。
「ひどいですよ〜妖夢さ〜ん……」
そして涙声で勇美は妖夢に訴え掛けるかのように唸った。
「大丈夫ですか……?」
さすがに妖夢は心配になって勇美に呼び掛ける。だが……。
「な〜んちゃって♪」
「!?」
「金山彦命、我に力を! そしてスペル発動! 【機銃「航海服者のマシンガン」】!」
うつぶせ状態だった勇美はいつの間にか両手に持った機関銃の銃口を妖夢に向けると、引き金を引いたのだ。
そして端を切ったかのように銃口から無数の鉛弾が放出されると妖夢を襲ったのだった。
「くぅぅっ……!」
唸りながらも当然妖夢は二振りの刀でそれらを切り落としていく。
ガキンガキンとけたたましい音を打ち鳴らしながら機関銃の弾は順当に切り落とされていった……かのように思われた。
だが、何せ機関銃から放たれた銃弾。如何せん弾数が多かったのだ。妖夢は全ての弾を切り落とす事が出来なかったのである。
そして、打ち残した弾は……妖夢本人へと向かっていったのだった。
「くぅっ……!」
とうとう妖夢は銃弾を、幾つかその身に浴びてしまったのだ。彼女に当たった弾はぶつか
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