第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第30話 白の侍と黒の機士:前編
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当をしでかした勇美を睨み、見据えた。
「やりますね、勇美さん。見事な戦法ですよ」
漸く息を整えて、妖夢は自分に一杯食わせた勇美に尊敬半分、忌々しさ半分の心持で声を掛けたのだった。
「いえ〜、あんまり見事なものじゃないんですよ〜……」
そう間の抜けた声と共に、爆発の煙が収まり、勇美の姿が見えた。
「ええっ?」
そして妖夢は拍子抜けしてしまった。そこにあったのはまるでコントの爆発に巻き込まれたかのような勇美の姿だったからである。
「これって所謂『自爆技』ですから、そう格好良いものじゃないんですよ……けぷぅ」
言いながら煙を口から吐く勇美。今の彼女は大丈夫だぁ? と聞かれたら余り大丈夫ではないだろう。
「そうなんですか……」
妖夢は何か脱力してやるせない気分となるしかなかったのだった。
哀愁漂った雰囲気となってしまった庭園だが、漸く妖夢は言葉を発した。
「いや……まあ……取り敢えず、仕切りなおしって所ですね……」
「いえ、ダメージは明らかに私の方が大きいですね……ぷふぅ」
「……」
しかし、シュールな雰囲気を持ち直させるには至らなかったようであった。
◇ ◇ ◇
だが、いつまでも両者とも気の抜けるようなやり取りをしている訳にはいかないだろう。互いに距離を取り直した二人には再び緊張に包まれていた。
「最初は妖夢さんから来たから、今度は私から行かせてもらうよ」
言って勇美は新たにまたも銃を生成した。
勇美が今回銃を使う事に拘っているのは、妖夢が熟練の剣士であるのを意識しての事である。
漫画では銃よりも剣の方が強いという描写が多いが、実際の戦闘では飛び道具で出も早い銃と、相手に接近しなければいけない剣とでは当然銃に分があるのだ。
勇美は熟練の剣士たる妖夢と比べて、特別に銃の訓練を受けた訳ではない。しかし、妖夢に勝つには銃に執着するしかないと勇美は踏んだのである。
そして、勇美が今生成した銃は、愛宕様の力を借りた『炎の銃』であった。
「行きますよ! 【炎銃「フレイムガン」】!」
そう勇美はスペルを宣言すると、真紅に染まった銃の引き金を引き、銃口から銃身と同じ色の激しい炎を火炎放射器のように放出し始めた。
その炎は蛇のような胴長の生物のようにうねりながら妖夢に襲い掛かっていった。
そして蛇が大口を開けるかのように妖夢に覆い被さると、彼女は一気に炎に包まれたのだった。
それを見て、勇美は「やったか?」と思った。直撃をしたのだから当然だろう。だが……。
「甘いですよ」
その声の主は他でもない、妖夢であった。
「!」
勇美は驚いてしまう。ちゃんと攻撃は確かにヒットした筈であったからだ。
「これってどういう……」
勇美がそう疑問をぶつけようとしたのを遮るかのように妖夢
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