第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第30話 白の侍と黒の機士:前編
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「お覚悟!」
そう言って彼女は右手用の刀『楼観剣』を鞘から引き抜き、勇美目掛けて振りかざしたのだった。
「来ましたか!」
勇美はそれを見て、咄嗟に──予め生成していた機銃を懐から引き抜いたのだ。
「【星弾「プレアデスブレット」】!」
そして、手馴れた様子で自分に馴染んだ星の弾丸を吐く銃の引き金を引いた。
シャリシャリとかき氷を削るかのような音を立てて次々に弾が打ち出される。
このままいけば妖夢に命中するだろう。だが妖夢とて剣の腕を磨いた身。そう易々とは攻撃を通しはしなかったのだ。
楼観剣を振りかざす中で、今度は左手で二本目の刀『白楼剣』を引き抜いた。
そして、その刀と楼観剣の二本で、彼女に迫り来る星の弾丸を次々と切り落としていった。パチパチと斬られて弾ける星のエネルギーは、どこか不思議な印象があった。
当然勇美は呆気に取られてしまった。相手の攻撃に合わせて打ったものが決定打にはならなかったのだから。
「これが『二刀流』の力ですか……」
低く呟く勇美。彼女は今その概念を噛み締めていた。
二本の刀を使いこなす戦法は依姫でさえも行わない事である。彼女の戦闘スタイルには合っていないからかも知れないが、何にしろ依姫にはない斬新とも言える戦い方故に勇美は彼女との稽古では見られない手法に戸惑うしかなかったのだ。
真剣というものは創作物で軽々と振り回されるイメージが強いが、実際は非常に重量のある代物なのだ。
故に二刀流が格好良いからといって、とてもではないが簡単出来る事ではないのである。
にも関わらず、目の前の妖夢はそれを軽々とやってのけているのだ。その事だけでも彼女の実力を証明しているのだった。
そして、勇美の放った弾丸は粗方妖夢の二刀流により切り落とされてしまっていた。
もう一回引き金を引いて応戦すべきだろうか? いや、目の前に肉薄した妖夢はそれを決して許しはしないだろう。
(だったら!)
ならばと思い、勇美は意を決して奥の手を使う事にしたのだ。
「【爆符「スターバースト」】!」
そう勇美がスペル宣言すると、彼女の持つ星の銃が突如乳白色に光を放った。
そしてすかさずそれを妖夢目掛けて投げ付けたのだ。
「何をするので……!」
攻撃の要である銃を自ら投げ捨てるなんて、どういうつもりだろう? そう思う余裕しか妖夢には与えられなかった。
何故なら、彼女に投げつけられた銃が一気に爆発したからである。
「!!」
驚いて、その場から身を引こうとする妖夢だったが、時既に遅しであった。彼女は爆発に巻き込まれて、したたかに身体を弾き飛ばされてしまったのだ。
「くぅ……っ」
ダメージを少々負いながらも、妖夢は距離を置きつつ体制を整えた。
「くっ……」
そして、このようなトリッキーな芸
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