第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第30話 白の侍と黒の機士:前編
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た。
「依姫さん、あなたが怒る事はもっともです。でもどうかここは私に対処させてくれませんか?」
それは勇美であった。自分の憧れの人に何か厄介な事を起こさせたくないという事であろうか?
そんな勇美の説得が届いたのか、依姫は表情を少し和らげた。
「分かったわ。貴方がそこまで言うのなら手を打ちましょう」
そして依姫は人差し指を上に立てながら言う。
「勇美、貴方とそこの白玉楼の剣士、妖夢。その二人で戦って、妖夢が勝ったら私は引き下がりましょう」
「もし、私が勝った時は依姫さんはどうするのです?」
そこで勇美は首を傾げる。自分が勝った時どう対処するか気にするのは当然であろう。
「その場合は勇美の意見に従うわ」
依姫は少し微笑みながら勇美を見据えた。
それを見て勇美は安堵する。
「分かりました。この勝負、受けて立ちます。妖夢さん、お願いしますね」
勇美にそう言われて、妖夢も胸を撫で下ろしたようであった。
「はい、勇美さん。お手柔らかにお願いしますね。お互い頑張りましょう」
そして、二人は永遠亭の庭園へと向かい、それに続いて永遠亭の者達に着いていったのだった。
そんな最中、依姫はほくそ笑みそうなのを堪えるのに必死だった。だが、そんな彼女は気付いていなかった。
勇美も周りに悟られないように口角を上げている事に。
◇ ◇ ◇
そして一向は永遠亭の庭園へとたどり着いていた。
「面白い事になったわね。冥界の亡霊さん」
そこで輝夜は幽々子に軽く言葉を掛けた。
「ええ、ここはお互い楽しみましょう」
対して幽々子ものほほんとした態度で返した。
「では始めましょうか」
妖夢は準備万端といった様子で言葉を発した。もはや腹を括っている事がこれで分かるであろう。
「はい、やりましょう」
勇美も覚悟を決めたという風に振舞った。
「では、始めなさい」
そこに依姫が試合開始の合図を掛けたのだった。
遂に始まった、黒を基調とした勇美と白を基調とした妖夢の戦い。この勝負で文字通り白黒付けられるだろう。
だが、両者ともじっと互いを見据え、中々行動を始めなかった。互いに相手の出方を見計らっているのだ。
それは二人とも相手の攻撃を切り崩す戦法を取っているからである。勇美に関しては今までの戦い方から見ても一目瞭然だろう。
一方で妖夢もそうなのであった。同じ剣士として相手の攻撃をいなす事に主眼を置いた依姫よりは剛の戦法寄りであったが、刀を扱う者として柔の戦い方も心得ているのだ。
だが、先に切り出したのは妖夢の方であった。柔の大切さを知っていても、ここぞという時は剛にならなくてはならない事を彼女は知っていたのだった。
「はっ!」
掛け声と共に妖夢は足で地を蹴り、勇美へと肉薄していったのだ。
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