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MOONDREAMER:第二章〜
第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第29話 一霊と半霊様ご招待
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来ませんか?」
 そう言ってから勇美は「これが依姫さんからの言伝です」と付け加えた。
「……」
 その名前を聞いた時、今まで朗らかだった妖夢の雰囲気が肌に突き刺さるかのようになった。
 妖夢も月の守護を任され──そして自らの主が出し抜いたその者の片割れの名前は知っていたのだ。
 故に妖夢が警戒するのは当然であろう。これは何かの罠なのかと。
「勇美さん、何が狙いですか?」
 険しい表情で迫る妖夢に勇美もおののく。
「し、知りませんよ。依姫さんに言われた事ですから」
 慌てて弁明する勇美。彼女のその言葉は本当であった。
 以前依姫に「もし白玉楼の庭師に遭ったら宴会に誘うように言って欲しい」と言われたのだ。
 その理由を聞いてもはぐらかされて教えてくれなかった。
 だから今回勇美が妖夢に呼び掛けたのは咄嗟の判断からだったのである。依姫の狙いは分からなくとも、この機会を逃してはいけないと。
 なので勇美は妖夢に話し掛けた事を後悔はしていなかった。──正直言って、今怖い訳であるが。
 そんな事を勇美が考えている中、妖夢の表情がだんだん和らいでいった。
「あ、ごめんなさいね勇美さん。あなたを怖がらせるつもりはなかったんですよ」
 そう妖夢に言われて勇美は胸を撫で降ろしてほっとする。
「分かりました。この事は幽々子様に伝えておきます。私一人では決めかねる事ですから。では」
 言って妖夢は買い出しを済ませていた事もあって、そのまま人里から去っていった。
「まあ、これで言伝は果たした訳ですね」
 勇美は取り敢えず肩の荷が降りるような心持ちとなるのだった。

◇ ◇ ◇

 そして永遠亭に戻って来た勇美は鈴仙と解散した後、休憩室で依姫と話していた。
「今日人里で妖夢さんに遭ったので、依姫さんに言われた通り永遠亭の宴会に誘っておきましたよ」
「ありがとう勇美、よくやってくれたわ」
「それで、彼女達を宴会に誘う理由って何ですか?」
 やはり消えない疑問を勇美は再度依姫にぶつける。言伝を果たした今なら教えてくれるかと思ったからだ。
「それはまだ秘密よ」
「ぶぅ〜……」
 またはぐらかされて勇美はハムスターの如く頬を膨らましてむくれた。やはり彼女は小動物の素質があるのだろう。
「でも、『宴会に誘う理由』だけは教えておくわ」
 そう言って依姫は説明を始めた。
 それは自分と勇美で妖夢と幽々子に遭いたい理由がある。
 しかし、彼女達は冥界──つまり『あの世』の住人。
 故にみだりに生者である勇美を死の側の世界に連れていくのは避けなければいけない。
 そこで彼女達を永遠亭に招きいれる事にしたのだ。つまり勇美を気遣っての事だったと言う訳である。
 その依姫らしいさりげない優しさを知って、勇美は胸が熱くなるような心持ちと
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