第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第29話 一霊と半霊様ご招待
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し抜いた程の存在なのだ。
綿月姉妹の妹である依姫に師事する身として、そんな主に仕える妖夢に勇美は興味があるのだった。
それにこれは勇美だけの問題ではないのだ。
故に勇美は──妖夢に声を掛ける事にしたのだった。
「あの、すみません」
そう声を掛けられて、妖夢は何かと思い声の主に向かい合った。
「はい、何でしょうか?」
「ちょっと勇美さん……?」
勇美に呼ばれて言葉を返す妖夢。そして突然妖夢に声を掛け始めた勇美に少したじろぐ鈴仙。
「勇美、どういうつもり?」
『仲間』の突拍子もないように見える行為に鈴仙は聞く。
それも無理はないだろう。基本的に幻想郷では他の勢力とは『友達』にはなれても『仲間』とはいかないものであるのだ。
故に過剰な関わり合いは避けて微妙なバランスを保つのが望ましいのである。
ましてや初対面の別勢力の者に軽々しく声を掛けるのは問題なのだ。
更に言えば以前の関わりで、月と冥界は浅からぬ因縁がある中で……だ。
「あなたは確か黒銀勇美さんですか?」
「はい、初めまして妖夢さん……」
妖夢に言葉を返しつつも、勇美はこそばゆい嬉しさが込み上げてくるのだった。──彼女も自分の事を知ってくれていたのかと。
「勇美さんはもう幻想郷でも有名ですからね」
「そんな、妖夢さん程の人にそう言ってもらえるなんて光栄ですよ」
「いえ、私はまだ未熟者ですから。あなた程頑張っている人は注目しておかなければなりませんよ」
そんなやり取りをして二人は笑い合った。
「それで、勇美さんの隣にいるのは鈴仙さんですよね」
「あっ、はい」
妖夢に話を振られて慌ててしまう。
「私の事覚えてくれていたんですね」
「はい、目の治療の時にはお世話になりました」
「……」
そこまでやり取りをして、鈴仙は心に存在していた隙間に何かがすっぽりと収まるかのような感覚を覚えた。
──妖夢の事を警戒していたのは取り越し苦労だったようだと。こうして今話が出来たのだからと。
そして、再び勇美の人当たりが良さと打ち解ける力に目を見張るのであった。
そんな彼女達に対して、妖夢は改めて聞き直す。
「それで、私に何の用でしょうか?」
「あ、そうでした」
言われて勇美ははっとなる。危うく自分が妖夢に話し掛けた理由を忘れる所であったと。
「勇美さん……あのねえ」
その事を勇美から告げられて鈴仙は呆れてしまう。──この子は人当たりがいい分おっちょこちょいだったり、抜けている所があったりするなと。
「ウン……オホン……その、何ですか……」
さすがに恥ずかしくなったのか、古典的なわざとらしさをかもし出した咳払いをしながら勇美は改めて切り出した。
「今度、永遠亭で宴会があるんですよ。だから良かったら妖夢さんと幽々子さんも
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