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MOONDREAMER:第二章〜
第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第29話 一霊と半霊様ご招待
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てしまった。
 勇美は自分の成長を妨げるような母親の元を離れる為に今の内から努力をしているのに、自分は苦労もせずに戦いが始まる前に月から逃げてしまったのだと。
 だが鈴仙はここで思い直す事にした。
(いえ、だからこそ……だよね)
 勇美がそういう境遇にあるからこそ、自分はもう逃げ出さずに永遠亭の仲間と共に日々を一生懸命生きて行くべきだろう、鈴仙はそう心に誓うのであった。
 そして、目の前の勇美もその仲間の一人なのである。
「勇美さん、ありがとうね。今日の事も、この前の勝負の時の事も」
 心から鈴仙はその気持ちを言葉にしたのだった。
「はい、私でよければ何でも言って下さいね。可能な限り力になりますよ♪」
「ええ、これからもよろしくね」
 そう言って二人は声に出して笑い合ったのであった。

◇ ◇ ◇

 そして茶屋での休憩も終えて帰路に着こうとした二人であったが、そこで今まで余り見掛けない顔を目にするのだった。
 白髪の短髪が特徴的な少女である。
 そして白のカッターシャツの上に緑のベストとスカートという色付きの服を着るスタイルは綿月姉妹の基本的なものと似通っている。
 更に共通するのは何と言っても刀を携帯している事だろう。だが彼女のそれは二振り揃っていたが。
 彼女の名は魂魄妖夢。冥界に存在する屋敷『白玉楼』の剣術指南役兼庭師であった。
「全く、幽々子様は人使いが荒いんだから……」
 そう妖夢はぼやくが、それは『半分』的確な表現ではなかった。
 それというのも、彼女は人間と幽霊のハーフ『半人半霊』という珍しい存在だからである。
 ちなみに彼女が話した幽々子とは完全な幽霊の姫君であり妖夢が仕える主である。
 そんな妖夢であるが、幽々子の事伝で人里に買い出しに来ていたのであった。
 その妖夢を見掛けた勇美は鈴仙に尋ねていた。
「鈴仙さん、あの人って……」
「ええ、魂魄妖夢。半人半霊の剣士ね」
 勇美に尋ねられて鈴仙は答えた。
 妖夢は鈴仙にとっても見知った顔なのであった。
 以前永遠亭が偽の月の異変を起こした際に、それを解決すべく動いた存在の一つが妖夢と幽々子のペアなのだった。
 それを鈴仙は永遠亭への突入を阻止すべく迎え撃った時に初めて顔を合わせたのだ。
 そして、月の光の妖力に当てられて目に異常をきたしてしまった妖夢を永琳は治療していて、その間にも鈴仙と妖夢は多少なりとも関わっていたのである。
 対して勇美は当然初めて妖夢を目にした訳である。
 それなのに勇美は妖夢に興味を示したのは何故かと疑問に思った訳である。
「でも勇美、あの人がどうかしたの?」
「それはですね……」
 鈴仙に聞かれて勇美は答え始める。
 曰く、彼女の主たる西行寺幽々子は以前綿月姉妹を直接的でないとはいえ最終的に出
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