第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第28話 レイセン一世:後編
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いいですね、では発射!」
とうとう勇美は指を鈴仙に向け、水晶の要塞に攻撃指令を送ったのだ。
先程まで鏡の玉を吐き出した砲身が怪しく青く光の粒を集め、そして今度は同じ色のレーザーを照射した。
だが、今回は直接鈴仙を狙って撃ちはしなかったのだ。──狙うは無数に漂う鏡の玉の一つである。
そして、レーザーに射貫かれたその鏡の玉はキィンという小気味よくもあり耳障りとも取れる金属音を放ち……受けたレーザーを弾き飛ばしたのだ。
その住処を追われるように弾かれたレーザーはまた別の鏡の玉に向かい──先程と同じ行程を繰り返していった。
「きゃああっ……!」
当然鈴仙はその渦中にいた訳であり、当然の如く何度もレーザーの乱射を浴びる事となったのである。
レーザーに何度も翻弄されながらなぶられた鈴仙。だが彼女にとって幸運にも何度も弾かれたレーザーはその勢いを弱めて徐々に消滅していったのだ。
漸く鈴仙に安堵が訪れる。だが、彼女はそれを噛み締める余裕などなかった。
当然だろう。彼女は何度も射貫かれて、身体のあちこちがボロボロになり、満身創痍だったのだから。
「はあ……はあ……」
よろけながら息を荒げながらも、何とか気力で立っている鈴仙。だが、それがいつまで持つのか本人すら分からなかった。
(勇美さん、ここまで強敵だったとはね……)
鈴仙は感心半分、悔しさ半分で、戦っている相手にそう思いを馳せた。
正直な所、勇美がここまで自分を追い詰めるとは思っていなかったのだ。
寧ろ、自分を圧倒し得る程の力なのだ。その力は依姫と神々の助力があるとはいえ、それを勇美は使いこなしているのである。
そんな存在を相手にしているのだと鈴仙は痛感する。
──率直に言うと、分が悪いかも知れない。このまま降参するのが賢明だろうか。そう鈴仙は感じる。
(……でも)
そこまで思って鈴仙は首を横に振った。
──ここで逃げたら私はあの時と同じだ、鈴仙の頭の中にそのような言葉が浮かび上がり、熱く、大きくもりもりと膨らんでいったのだ。
今の自分はかつてのそれとは違うのだ。
兎というものは実際は単独行動をするものなのだ。故に孤独死するという見解は誤りで要因は別にあるのである。
鈴仙も玉兎であるとはいえ、やはり兎の範疇であった。今でも基本的に一匹狼である事は代わりはない。
しかし、月から逃げて永遠亭に住み込み働くようになってから彼女は少しずつ変わっていったのだ。
変わり者であるが、頭が良くて頼りになり間違いを正し、導いてくれる永琳。
自堕落でだらしない君主であるが、ここぞという時の分別はわきまえている輝夜。
悪戯好きで騒動を良く起こすが憎めないてゐ。そして彼女が率いる地上の兎達。
そう、今の鈴仙には立派な『仲間』と呼べる存在が確
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