第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第27話 レイセン一世:前編
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けないと思っていたのである。
勇美は依姫の元で精進すると決めたのに対して、鈴仙は依姫の元から逃げて今地上にいるのだ。
それは別に鈴仙が依姫を嫌っていた訳ではなく、戦いが始まる前にそれから逃れる為にやったのであるが。現に彼女は依姫に対して罪悪感を感じているのだ。
だが、鈴仙が依姫の元から離れるという、勇美とは逆の選択肢をした事に代わりはないのである。
だから勇美は鈴仙と深く関わらなければならないと考えていた。それは勇美が依姫を慕うからこそ依姫から離れた鈴仙とも交流を図らなければいけないのだと。
◇ ◇ ◇
そして、後日永遠亭の庭園にて。
まず立会人として依姫が、そして主役である勇美と鈴仙がそこにはいた。
最初に口を開いたのは勇美であった。
「鈴仙さん、お手柔らかにお願いします」
彼女は依姫の申し出であり、かつ自分の為でもあるので意気揚々とした気持ちである。
「え、ええ。宜しくね」
対して鈴仙は戸惑い気味であった。
だがそれは無理のない事であろう。依姫の言伝により、自らが望まない勝負をする事になったのだから。
しかし、それと同時に責任感も彼女の動力源となっていた。自分が依姫の元から逃げた罪が帳消しになる訳ではないが、少しでも罪滅ぼしになるのならと。
鈴仙がそのような思いを馳せていると、そこに依姫から声が掛かった。
「鈴仙、ごめんなさいね」
「えっ?」
依姫から掛けられた思いもよらなかった言葉に、鈴仙は意表を付かれてしまった。
「それってどういう事ですか?」
依姫の意図を計りかねて鈴仙は聞き返す。
「それはね、貴方はもう私の部下ではないのに、私のわがままを聞いてもらっているという事よ」
「あ……」
それを聞いて鈴仙は胸がドクンと高鳴るかのような感覚に陥った。
それは今正に鈴仙が考えていた事に通じるかのような内容だったからである。
そして、鈴仙は憑き物が落ちたような気分となった。
「いえ、それは依姫様が気にする事ではありませんよ。これが今の私に出来る事ですから」
鈴仙はにこりと依姫に微笑みながら言った。
「そう言って貰えると助かるわ。では……」
続いて依姫はとうとう鈴仙と勇美の勝負開始を宣言するのだった。
「始めなさい」
◇ ◇ ◇
遂に始まった鈴仙との勝負。その最中勇美は考え事をしていた。
(今回も人里で依姫さんが先生をした時と同じで、どちらかと言うと私が悪役になるね。それじゃあ……)
そう思考を巡らせた後、勇美は行動に移る。
「『天津甕星』様に、『だいだらぼっち』様、私に力を!」
そう勇美がいつも通りに力を借りる神の名前に、今まで聞いた事のないものが含まれていた。
(だいだらぼっち……一体勇美は何をするつもりかしら?)
訝りな
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