第98話 姉妹 前編
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散らし、必ず正宗様の前に現れるだろう。
敵だろうと味方だろうと正宗様にとって良い影響などない。
正宗様の志を叶えるには天下を手中にする他ない。
その為には綺麗事など構ってはいられない時がきっとやってくる。
敗者に正義を語ることなどできない。
正義を語ることが許されるのは勝者のみ。
力無き者の言葉など誰も耳を貸さない。
貸したとしても強者の気にそぐわぬ言葉なら無視される。
正宗様は勝者で有らねばならない!
正宗様が志半ばにして、死ぬようなことは私がさせない!
「はぁ・・・・・・。姉上は兄上を本当に慕っておいでなのですね。突然、姉上が兄上の妻になると言い、家を出た時は何か一物がおありなのかと勘ぐりもしましたが・・・・・・。しかし、果報者の兄上はそれに確り応えられるのでしょうか」
真悠は私の言葉に諦めたように言いつつも、私に忠告した。
「私はあの方を信じている」
「くすっ」
私の言葉に真悠は小さい声で吹き出した。
私が真剣に話しているにも関わらず、笑うとは不愉快な気分になった。
「何です」
私は真悠を訝しむように詰問しました。
「いえ、兄上と同じようなことを仰るものですから。兄上も姉上のことを『信じる』仰っていました。信じるという割には姉上を罰しておいですけどね。く、痛っ」
真悠は傷が痛むのか、笑いを堪えつつ応えた。
正宗様も私を信じると言って下さったのか・・・・・・。
私は心が暖かくなるのを感じた。
その感覚は未だかつて無い感覚だった。
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