暁 〜小説投稿サイト〜
戦姫絶唱シンフォギア〜響き交わる伴装者〜
第36節「戦場にセレナーデを」
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う。

一進一退、両者の戦いは互角であった。

(あいつは何を考えてあたしらを裏切ったんだ? 考えがあるにしては、随分余裕のなさそうな顔してやがる……)

睨み合いながら、クリスは思案する。
翼が何を目的としているのか、それを知らなければ支えてやることもできないと分かっているからだ。

言葉を交わすより先に彼女の剣が振るわれるなら、クリスは翼の挙動からその真意を読み取ろうとしていた。

(……ん? あいつの首……)

そしてクリスは、翼の首に何やら不審なものが巻かれていることに気が付く。

(あんなもの……ギアのパーツにはなかったよな?)



一方、翼とクリスの戦いを双眼鏡で覗く何者かは、今か今かと機を伺っていた。

「ふ、ふふふへへ……ッ!」

言うまでもない、ウェルである。
肩を揺らし、狂気を顔いっぱいに広げた彼の右手にはソロモンの杖が握られている。

否、それだけではない。
ソロモンの杖を握る生身の右手には、ツェルトのModel-GEEDによく似たガントレットが装着されていた。

「見つけたぜ……ウェルッ!」
「おや、姿が見えないと思ったらそんな所に居ましたか」

名前を呼ばれ、振り返るウェル。
そこには、クリスと翼の戦闘が始まった瞬間から戦線を離脱し、何処かで見ているであろう彼を探すべく走り回っていた純だった。

「もう逃がさねぇぜ。観念しやがれッ!」
「ハッ、身の程を弁えてくださいよ。僕は英雄、全ての人類に崇め奉れる存在なんですからねぇ」
「支配者気取りの愚かな科学者が、自惚れまみれの稚拙な定理を並べてるだけだろ。そんな奴が英雄名乗ろうなんざ……2万年早いぜッ!」

眼鏡を外した純の啖呵に、ウェルは一瞬口元をヒクつかせた。

「僕は天才だぁッ!」
「どうだかな。戦場に於いて、果たしてその頭だけで何処まで逃げ切れるか、試してみるか?」
「ならば見せてあげましょう……僕の頭脳が生み出した、最高の研究成果をお披露目してあげます」

そう言ってウェルはソロモンの杖を収納し、コートの裏に仕舞う。
そして代わりに、右腕に装着された赤いガントレットを起動させた。

「それは……ツェルトと同じModel-GEEDッ!?」
「転調・“天詔琴(アメノノリゴト)”ッ!」

ウェルが叫んだ次の瞬間、彼の右手に何かが形成される。

それは、純にも見覚えのあるシルエットだった。
戦場で見かけるには不似合いだが、それは確かに純の知るそれと一致していた。

楽器だ。戦場に旋律を奏でる弦楽器……翔のアームドギアの一つであり、生弓矢の形の一つ。
“天詔琴”のアームドギアが、ウェルの手に握られていた。

「盗んだ生弓矢を、RN式に組み込んだのかッ!?」
「本当のお
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