桜!
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AM7:00
ジリリリリリリ
ガチャ
「うぅ...」
布団から手だけを伸ばして、けたたましく鳴る目覚まし時計を止める。
いつもは苦手なこの音も、今日は少しだけ緊張感を持って止めた。
布団をめくり、上半身を起こし、カーテンを開ける。
少しずつ体から気怠さがとれていく。
――――――埃の匂いと、温かい日差し。
今日は高校の入学式だ。
寝間着のまま部屋を出て階段を下りる。
「おはよう奏」
「おはよう母さん」
階段を降りると、母さんが朝食を作って待ってくれていた。
いちごジャムの乗ったトーストを齧りながら挨拶を返す。
「奏も今日から高校生ね。部活は何にするの?」
「気が早いよ。でも、折角高校に入ったんだから何かやってみようかなーとは思ってるけど」
食べ終わり、自分の分の食器を洗う。
「洗い物なんて母さんがやるのに〜」
「いいよ。自分で食べたものくらい自分でやるよ」
いつもの会話を済ませて部屋に戻る。
白いシャツに着替え、スラックスを履き、学年別に色の違う水色のネクタイを締める。
クローゼットに掛けた紺色のブレザーを羽織ると、学ランだった中学生の頃と違って少し大人びたように感じた。
顔を洗って歯を磨いてる間、朝のやり取りをふと思い返していた。
僕は母さんと2人暮らしだ。
もしかして部活のことを話題に出したのは、僕がバイトをして家計を支える必要はないからねと暗に言ってくれたのだろうか。
携帯を確認すると7時40分と表示されていた。
今日くらいは早めに出ようかな。
「行ってらっしゃい。今日はちょっと風が強いから気を付けるのよ」
「うん。行ってきます」
――――――いつもありがとう。
心の中で呟いた。
AM7:50
今日から高校生だからか、平凡な風景も新鮮に感じて嬉しくなる。
北山通りを抜けて、松ヶ崎橋を歩いていると横から強い風が通り抜けた。
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「
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