怪盗たちに、アローラ
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う舞台だったことにしてしまえば、チュニンの凶行も含めて一つの演技ということにしてしまえる。
「おめでとう、サフィール。じゃあこれからは……あなたはシャトレーヌの一員なのね」
「うん! また遊びに来た時は、オレが運営する施設に案内するよ!」
「怪盗として盗みにいくかもね」
冗談めかして言ってみる。サフィールはちょっとぽかんとしたけど、にやりと口角を上げて笑ってくれた。
「そのときは、今度こそ君を捕まえてみせるよ。怪盗乱麻。本当に感謝してる! ラティアスも、また君と直接話すのを楽しみにしてるってさ! それじゃあ、また今度!」
「うん、いつでもまた! アローラ!」
サフィールとラティアスが、満開の笑顔で手を振ってくれる。わたしもカメラに映る範囲で強く振り替えした。十秒くらいそうしてから、通話が切れる。
テレパシーで意思を伝えるあの子は、電話だとサフィールか誰かに代弁してもらわないといけない。いつかまた、会いに行って今度は散歩をしたりするんだ。
「いい友達が出来たね、ラディ」
「……うん、離れていても自慢の友達」
話す時間は決して多くなかったけど、心からそう思える。
喉の渇きを覚えて口に付けた紅茶は、とっても温かかった。
「ちなみにシャトレーヌって言うのは女城主の意味だから、あれだとサフィール君を女の子扱いしてることになるよ」
「あ! いやでも、サフィールも頷いてたし」
「きっと彼もサーナイトあたりに指摘されて今頃恥ずかしがってるんじゃないかな?」
「……そうかも」
想像に難くない。なんだから想像したら笑えてきた。
しばらく紅茶とお菓子を堪能していると、クルルクが真面目な顔になる。
「──さて、ここからは今後の話。君を怪盗の道に進ませた人間として、君に確認することがある」
「どうしたの? 改まって……」
「君はもう、自分で好きな服を着て堂々と振る舞えて、僕とも違う立派な怪盗になった。だからこそ聞くよ。……これからも、怪盗を続けるのかい?」
きょとんとするわたしに、彼は驚くことを言った。でも、今のわたしには……クルルクの言いたいことが、スズの説明なしでも理解出来る。
「もちろん。わたし、怪盗として振る舞うのが楽しい。本気で勝負して、その上で勝っても負けてもみんなが喜んでくれて、宝をこの手にするのが好き。失敗したら泣くほど悔しい。……怪盗になれて、良かった。ありがとう、クルルク。わたし、あなたと一緒に過ごせてよかった」
今のわたしは、クルルクに拘らなくても生きていける。自分を傷つける相手にも立ち向かえる。だから、怪盗というクルルクの道を追いかける必要はない。他の生き方だってできるはずだ。
それでもわたしは、怪盗乱麻として生きていたい。いつかアローラで、
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