第1部
アッサラーム〜イシス
砂漠での冒険
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づかれるって知ってたのに、走ってしまいました」
おそらく砂漠の歩き方は教わったんだろうが、ルカは考えなしに突っ走ってしまうことがある。私も人のことは言えないので、怒るに怒れない。
するとユウリが、怒気を孕んだ声でルカを呼び立てた。
「知っててどうして音を立てた? 一歩間違えばパーティーが全滅する可能性もあるんだぞ」
「はい、ごめんなさい」
「謝罪は一度でいい。それよりなぜこうなったのか、二度と起きないためにはどうしたらいいかを考えろ」
「……はい」
ユウリの強い口調に、ルカは溢れそうになる涙を必死にこらえている。助け船を出したいが、それではルカのためにもよくない。他のみんなもそれを慮ってか、黙っていた。
「……早く目的地に着くために、焦って周りが見えなくなっていました。今度は落ち着いて行動するようにします」
「『するようにします』じゃない。行動しろ」
「っ、はい!」
背筋を伸ばし、大きな声で返事をするルカ。すると、さっきまで殺気立っていた空気が少し和らいだ。
「ふん。ならいい。先に進むぞ」
そう言うとユウリは、ルカに方角を確認するよう促した。
重い雰囲気の中、ナギがいつもと変わらない様子で、ルカの頭をぽんと優しく叩く。
「ま、過ぎたことだし気にすんなよ。けど、次からは注意してくれよな」
「は、はい!」
すると、ユウリが私の方を見ながらこう言った。
「お前の姉よりは役に立ってるから安心しろ」
「え?! なんか聞き捨てならない言葉が聞こえた気がするんだけど?!」
私だって結構頑張ってるんだけどなー。でも、二人の言葉を聞いて、泣きそうだったルカの顔から笑みがこぼれる。
「ありがとうございます! 今度こそ気をつけます!」
深々とお辞儀をし、気を取り直したルカは再び方位磁石を取りだし、今度は冷静に位置を確認する。
「……ああそうか。ここから南西に進めばヴェスパーさんの家に着くはずです」
ルカが指差した方を見るが、家らしきものは何もない。
「ルカ、大分距離がありそうなんだけどどのくらい歩けば着くの?」
「えーと、三時間ほど歩けば」
「さっ、三時間!?」
この炎天下の中、三時間も歩かなければならないなんて、気が遠くなる。
「おい、暑いからって気を抜くなよ。魔物だって居るんだからな」
ユウリが釘をさすけれど、私の心はすでに折れそうになっていた。気分を変えるため、私は持っていた水袋を取り出して水を飲む。さっきの戦闘で喉がカラカラに乾いていたので一気に飲み干したかったが、ここは我慢して一口でやめておいた。
ふとシーラの方を見ると、マントを来た彼女は心なしか元気がなか
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