第82話『キャンプ』
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れ、こんなとこを誰かに見られたらシャレにならな・・・
「…何してんだお前ら? 男同士で」
「あ、はは…」
伸太郎の鋭いツッコミに、晴登は苦笑いを浮かべることしかできなかった。
*
「ん〜美味い!」
「インスタントなんかよりずっと美味いな」
「皆で作った甲斐があったね」
時は夕食。クラスみんなで木のテーブルにつきながら、各々の班で作ったカレーを食べている。
出来は班それぞれで差があるようだが、うちの班は大成功みたいだ。とても美味しい。
「さすが三浦君だね」
「俺だけじゃないよ。皆のおかげだって」
「またまた〜」
先の一件から、晴登と狐太郎の距離がぐっと縮まったように思える。狐太郎の当たりが随分とフランクになったのだ。
「班長、おかわり貰えるか?」
「俺も俺も」
「うん、いいよ。でも班長って呼ぶのは止めて欲しいかな…」
「はは、悪いな三浦」
狐太郎だけじゃない。班員ともかなり話せるようになった。やはり、キャンプパワーは凄まじいものだ。今なら誰とでも話せる気がする。
「なぁ晴登、一口貰っていいか?」
「お、どうしたんだよ大地? 別にいいけど」
不意に後ろから声をかけられたので振り返ると、そこには手を合わせて申し訳なさそうな大地がいた。
「いや〜うちの班は失敗しちゃって、あんまり美味しくないんだよねぇ。その点晴登がいるなら、ここのカレーは美味しいんだろ?」
「何だそりゃ。でもまぁ自慢できるくらいには美味しいぞ。一口しかあげないけどな」
「なんだよケチだなぁ」
「お前が一口って言っただろ。こういうのは自分で作ったものを食べることに意味があるの」
「へいへい」
珍しく晴登がドヤ顔をかますと、大地は不服そうにする。
彼の言いたいことはわかるが、どうせなら自分で作ったものを食べた方がいいと思うのはおかしいだろうか。
「それじゃ一口いただきま──美味っ!? も、もう一口いいか?!」
「ダメだって言ってるだろ」
「く〜、晴登と一緒の班が良かったぜ!」
「班員に失礼だろそれ」
悔しがる大地を見て、晴登は呆れるようにため息をつく。その後彼は残念そうに、自分の班の元へと戻って行った。
許して欲しい、これ以上食べられてはおかわりが無くなってしまう。
「「ごちそうさまでした」」
「それじゃ、後片付けしようか」
夕食の時間が終わり、各々は後片付けに入る。そして皿を洗いながら、晴登は期待と不安を胸に抱えていた。
日はもうほとんど沈み、蛍光灯の明かりだけが辺りを薄く照らす。
次はいよいよ、あの行事であ
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