第82話『キャンプ』
[4/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
やかく言っても後の祭りには変わりない。だからできるだけ頑張る。自分の仕事を放棄するような人にはなりたくない。
「・・・はい、点呼確認しました。それでは、1組は夕食の調理に取りかかりましょうか」
「「はーい!」」
その山本の指示を受けて、1組は一目散に調理場へと駆ける。
さて、カレー作りなら慣れたもんだ。ここは班長らしく、リードしてあげるとしよう。晴登は自分を除いた4名の班員を見渡し、一度深呼吸する。
「え、えっとまずは、その・・・ご飯とカレーを作るために、2組に分かれよう」
「それなら、そっちの3人とこっちの2人でいいか?」
「い、いや、カレーは4人にしよう…かな」
「そっか。なら俺が入るよ」
「あ、ありがと」
う〜ん無理。やっぱりリーダーとか向いてないし、そもそも仲良くない人と話すこと自体難しい。幸い、この人がよく話すから話が進んで助かる。
とりあえず、晴登、伸太郎、狐太郎、そしてこの男子の4人がカレー調理班となった。
「えっと…早速材料切っていこうか。えっと…お肉と人参と玉ねぎとじゃがいもと・・・」
「ならまずはその4種類を分担するか?」
「そうだね。じゃあ…俺が玉ねぎするよ」
「了解」
晴登の拙いリーダーシップでも、班員の気遣いで何とか調理が形を成す。まぁ伸太郎や狐太郎も話し下手だから、彼らは言われるがままなのだが。
そして、4人は材料を切り始める。
「・・・暁君、大丈夫? あんまり包丁って慣れてない?」
「う、まぁな…。不器用だから、料理とか苦手で…」
「ゆっくりでいいから気をつけてね」
サクサク玉ねぎのカットが進む晴登の横で、伸太郎は人参を切るのに苦戦していた。
でもここで手伝っては彼のためにならない。料理とは慣れなのだ。やればやるほど上手くなるし美味くもなる。ゆえにこういう機会は大切にしなければいけない。
「柊君は・・・あれ、もうじゃがいもの皮剥き終わったの? 早いね」
「うん。一人暮らしだから、これくらいは朝飯前だよ」
「あ、そういえばそっか」
忘れていたが、狐太郎は一人暮らしなのだった。事情は詳しくは知らないが、この様子だと料理は自分で作っているのだろう。そう思うと、何だか親近感が湧いてきた。
4人が食材を切り終わると、いよいよ鍋に投入だ。晴登はかまどの下に木材を組む。
「暁君、火をお願い」
「おう。これでいいか?」
「ありがと・・・って待って! ストップ!」
「え?・・・あぁ! 悪ぃ!」
だがここでささやかなハプニング。火をつけることを頼まれた伸太郎が、なんとつい右手に炎を灯して差し出してきたのだ。
ここは
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ