第82話『キャンプ』
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元へと向かった。しばらくは座って、海や空でも眺めることにしよう。
「…みんな元気だなぁ」
「ハルトの体力が無いんじゃないの?」
「ぐうの音も出ない…」
普段外で遊ばないツケがここで回ってきた。さらにはこの日差しの強さも、余計に疲れる原因だろう。運動部ではない晴登が慣れるはずもない。
一方結月は、口では休もうとは言ったもののまだまだ余裕そうだ。さすが鬼と言うべきか。
「結月、遊び足りないなら俺を置いて行ってもいいんだよ?」
「いいよ、ボクはハルトと遊びたいから。ハルトが休むならボクも休むよ」
「そ、そうか」
頬が熱を帯びるのを感じながら、晴登は未だはしゃぎ声の止まない砂浜を眺める。
やっぱり、海で遊ぶのって特別で楽しかった。また機会があれば、今度こそは一日中遊びまくりたい。
「ふぁぁ…あれ、何だか眠くなってきたな…」
「寝ちゃってもいいんじゃない? まだ時間はあるみたいだし」
「そっか。それなら失礼して・・・」
晴登はパラソルの下に引かれたシートの上に寝転がる。疲れたから寝るなんて、いつ以来の感覚だろう。でも、今はとにかく眠い。
「時間が来たらボクが起こすから。ゆっくり休むといいよ」
「ありがとう結月・・・」
晴登は目を瞑りながらそう答えると、すぐに眠りについたのだった。
*
「おーい晴登、そろそろ起きろー」
「うぅ・・・ん、大地…?」
「そうだよ。全く、こんなとこで寝るなんて贅沢な奴だな」
「いや〜、あはは…」
目が覚めると、座り込んでこちらを見る大地の顔と、そして日が水平線の上に浮かんでいるのが見えた。どうやら海遊びの時間は終わりらしい。いよいよ次の日程に入るようだ。
「それより、早くどいてやれよ」
「どく…? 何のこと──って」
晴登は頭に感じる質感で全てを察した。
ばっと顔を上に向けると、そこには満面の笑みを浮かべた結月がいる。間違いない、またこの展開だ。
「結月…どうして膝枕をしてるのかな?」
「砂の上じゃ寝心地悪いかなと思って、ハルトが寝てからすぐに始めたよ」
「ちょっと訊くけど、俺は何時間くらい寝てた…?」
「ん〜3時間くらい?」
「ほんっとごめん!!」
晴登は急いで結月から離れて謝った。膝枕なんて、長時間やれば足が痺れるどころじゃないのは晴登も知っている。結月が勝手にやったこととは言え、どうして気づかなかったのか。
「いいよ、ハルトがしっかり休めたなら」
「うわ、罪な男だなぁ、晴登」
「うぐ…」
大地に横から言われても、何も言い返せない。これは後で埋め合わせをするしか
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