第35節「わたし達に出来ることで」
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最も信頼した男を重ねる。
そして彼は確信した。翔だけではない、彼らは……特異災害対策機動部二課は、信頼に値する者達なのだと。
「はい、あなた達のギアよ。念の為、しっかりメンテナンスしておいたわ」
了子から調とツェルトへ、それぞれのギアが返される。
「こいつは可能性だ。君達の行動が、最終的にフロンティアを止める事に繋がると信じている」
「……相変わらずなのね」
「甘いのは分かってる、性分だ」
と、いつか言ったような気がする言葉に、弦十郎は目を見開く。
(──ッ!?相変わらず、だと……?)
(今の言動……まさか、彼女は──?)
弦十郎と了子は、調の微笑みの中に、遠く懐かしき彼女の面影を垣間見た気がした。
「ハッチまで案内してあげるッ!急ごうッ!」
「バイクはあるか?貸してもらえるとありがたいんだが……」
「調査部が使用しているものがある。叔父さん、一台貸してもいいよな?」
調は響に引っ張られるように。
ツェルトは翔に案内される形で下へと降りていく。
それからしばらくして、格納庫より降下されたタラップから二つの影が発進した。
「あっ!?響、翔くんッ!?」
未来の声に、友里が慌てて映像を拡大する。
そこには、調の禁月輪に乗った響と、ツェルトが借りたバイクの後ろに跨る翔の姿が。
「何をやっているッ!お前達を戦わせるつもりは無いと言ったはずだッ!」
『戦いじゃありませんッ!人助けですッ!』
「減らず口の上手い映画など、見せた覚えは……翔、お前かッ!」
『叔父さん、許して欲しい。でも、ジーッとしててもドーにもならないんだ。戦う力がなくたって、できる事はあるッ!』
「むぅ……ッ!」
「まあまあ、いいじゃない。こうなると思って、私も翔くんにRN式返しちゃったし」
「了子くん、君も共犯かッ!」
弦十郎は思わず舌を巻いた。
こうなった二人を止めることは出来ないと分かっているからだ。
「行かせてあげてください。人助けは、一番あの二人らしいことですから……」
そんな二人を見て、未来は微笑む。
どんなに響が遠くに行っても、心配しながらも彼女の帰りを信じて待つ。
それが本来の小日向未来、立花響の尊き陽だまりなのだ。
神獣鏡の呪縛から解き放たれ、改めて彼女は自分に出来ることを再認識した。
「ふっ……こういう無理無茶無謀は、本来、俺の役目だったはずなんだがな」
「弦十郎さんも?」
愛弟子達に先を越されてしまったものの、その成長は何処か嬉しいものが込み上げる。
弦十郎の顔には、笑みが浮かんでいた。
「帰ったらお灸ですか?」
「特大のをくれてやるッ!だから俺達はッ!」
「バックアップは任せてくださいッ!」
「私達のやれる事でサポートしますッ
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