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戦姫絶唱シンフォギア〜響き交わる伴装者〜
第35節「わたし達に出来ることで」
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に、フロンティアの内部に侵入者に対する迎撃システムが存在しないとも言い切れない。
楽観はできないのだ。

「……いえ、シンフォギア装者は2人だけじゃありませんッ!」

響の言葉に、弦十郎が厳しい顔で振り返る。

「ギアのない響くんや翔を戦わせるつもりは無いからなッ!」
「戦うのは、わたしじゃありませんッ!」

何処か確信めいた表情で言う響。
その時、発令所の自動扉が開く。

「そうだ……お前達だけに、任せておけるかよ……ッ!」
「ツェルトッ!?」

そこには、姫須に案内されて来たツェルトが立っていた。



「捕虜に出撃要請って──どこまで本気なの?」

手錠を外されながら、調は訝し気な表情でそう言った。

「もちろん全部ッ!」
「あなたのそういうところ、好きじゃない──。正しさを振りかざす、偽善者のあなたが……」
「調ッ!」

調の言葉に、ツェルトが厳しい顔をする。
まるで、娘の非礼を叱る父親のようだ。

だが響は、今度は調の言葉に表情を曇らせることなく、ただ困ったように笑った。

「わたし、自分のやってることが正しいだなんて、思ってないよ……」
「……ッ」
「以前大きな怪我をした時、家族が喜んでくれると思ってリハビリを頑張ったんだけどね……。わたしが家に帰ってから、お母さんもお祖母ちゃんもずっと暗い顔ばかりしてた……」
「響……」
「それでもわたしは、自分の気持ちだけは偽りたくない……。偽ってしまったら、誰とも手を繋げなくなる──」

響はそう言って自分の両の掌を見つめ、そして調の目を真っ直ぐに見つめた。

「手を繋ぐ……そんなこと本気で……」
「だから調ちゃんにも、やりたい事をやり遂げてほしい……。もしもそれがわたし達と同じ目的なら、少しだけ力を貸してほしいんだ」

そう言って響は、調の手を両手で包むように握る。

調は驚いたように目を見開いて、そして瞳を揺らす。

「わたしの、やりたい事……」
「やりたい事は、暴走する仲間達を止めること──でしたよね?」

緒川からの言葉に、調は響の手を離すと顔を後ろに背ける。
彼女の両目に涙が浮かんでいたのを、その場の誰もが見逃さなかった。

「……みんなを助けるためなら、手伝ってもいい。だけど、信じるの?敵だったのよ?」
「安心しろ。こいつらはそんな、みみっちい事言わないお人好しだ」

ツェルトは肩を竦めながら、この場の全員を見回し苦笑した。

「敵だとか味方とか言う前に、子供のやりたい事を支えてやれない大人なんて、格好悪くて適わないんだよ」
「師匠ううぉぉぉぉーーーッ!」
「ッ! そうか……あんたもドクター・アドルフと同じことを言うんだな……」

弦十郎の言葉に、ツェルトはF.I.S.で
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