第三部
九月院
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強いのに足りない。
あの白髪男子は紫闇が要求する何かが欠けてしまっているのだ。
それが何かは解らないが。
「兎にも角にも情報が要るな」
紫闇がどうにかして男子のことを調べようと考えたその時だった。
「やはり……九月院、じゃったか……」
弥以覇は心当たりが有るように言う。
「何か知ってるんですか?」
「うむ。【九月院】とは───」
戦国時代に生まれた槍術の一門。
知名度は極めて低い。
趣味で日本全国の特殊な武術を研究しているような物好きしか知らないという。
世界全体を見渡しても彼らと彼等の使う流派を知るのは50人と居ないとのこと。
「しかし本当の事を知っている者は総じて奴等を評価し断言する。あれは全ての武器術流派の頂点であり最強の術理であるとな」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「そう言えば爺ちゃんから何度か聞いたことが有るね。全盛期の『鬼神』と呼ばれていた頃の爺ちゃんを死の一歩手前まで追い込んだって」
「焔の言う通り。儂が戦ったのは[流永/りゅうえい]と言って九月院一門の槍術【天地崩穿流/てんちほうせんりゅう】の正統後継者じゃったんじゃ」
流永は一門の中でも最強の使い手に与えられるという【瞬崩/しゅんほう】の称号を受け継いだ天才でもあった男。
「あやつは秘境の出身だからか地方の訛りみたいなものが酷く、何を言うとるのか少し理解が難しかったのう。が、死合った強者の内でも五本の指に入る」
弥以覇によれば、白髪の男子がしていた動きからして流永の弟子であることに間違いないだろうとのこと。
「あやつめ。くたばっておらんかったか。久方振りに会うてみたいと思うとったが」
試合が終わった後であの男子生徒の名前が《九月院瞬崩》と紹介された。
しかしそれはリングネームとのことで、本来の名前が有るという。
《佐々木青獅/ささきあおし》
龍帝の一年だった男であり、紫闇に魔術学園での敗北を与え、紫闇に敗北した男。
紫闇もクリスも驚く。
【夏期龍帝祭】までは小学生なみの体格しか持たず、大した戦闘技術も無かった。
そんな彼が紫闇より20pほど大きい190p程になり、筋骨も別人のように隆々。
戦闘技術も破格の高さ。
生物的に原形も面影も無い。
「何が有ったんだ佐々木……?」
紫闇は立ち上がり黒鋼の屋敷を出た。
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